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もう10年以上前のことですが、ある孤児契約のお客さまで、お会いしたこともなかった方が肺塞栓症で急逝なさいました。残された奥さまが私のオフィスに来て、保険金請求の手続きをなさいました。そのとき、奥さまは信頼できる友人を同伴なさり、その方もファイナンシャル・サービスで働いている方でした。
その「信頼できるアドバイザー」はまるで弁護士のように彼女を指導し、全ての手配をしていました。従って私にとってみれば、事務処理をするだけの案件であり、自分のクライアントという意識はありませんでした。同伴なさったアドバイザーに全てを任せていましたし、そのアドバイザーが全てを仕切ろうとしていました。
その件は時間が経過すると忘れてしまい、連絡先も分からなくなっていました。13年も経過した頃、亡くなったご主人の財産執行管財人に指名されていた奥さま宛ての通知を受け取りました。
その通知には、「XX年XX月XX日に、$xx、xxxが満期を迎えます。つきましては受取人にご連絡ください。下記に記載した期限までに手続きをしていただけない場合は、未請求として処理をさせていただきますのでご了承ください」とのことでした。
亡くなったご主人が子どもの教育資金にと準備していたものでした。亡くなったときに保険金支払いの手続きを完了しなかったために、未処理として放置されていたことになります。急いで奥さまを見つけなければなりませんでした。
でも、私のオフィスは数回の引っ越しを繰り返していたので、過去の記録が見つかりませんでした。
亡きお父さまが用意してあった教育資金をお子さまが受け取れないのは悲しすぎるので、私は必死で連絡先を探しました。やっとの思いで見つかった連絡先に電話をかけました。ファイルには、お子さんが小さかった頃の写真も入っていたので、受取人を確認する際に役に立つと思いました。
電話に出た奥さまは「どなたですか?はい、夫は亡くなりましたが、あなたのことは知りません」とおっしゃいました。
一生懸命状況を説明したところ、やっと理解してくださり、ご主人がお子さんのために残した資金を届けたいということを分かってくださいました。
最初は詐欺かと思ったと謝ってくださいました。今回は探偵のようなことをしてやっと彼女を探しあてたので、私立探偵が必要なときはぜひお声掛けください。子どもの頃からアガサ・クリスティーを愛読し、大人になった今も刑事もののドラマが大好きです。
同業者の皆さんに一言メッセージがあります。皆さんはライバルではなく、クライアントの問題を解決するためにコラボレーションするべき仲間でありたいと願っています。
彼女の信頼する友人があれほど仕切りたがらなければ、13年前のあの時期に夫を亡くし、不安に感じていた彼女のためにもっと多くのことをして差し上げられたと思います。