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ダチョウの投資話に乗ってはいけない

Matt Pais

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オルタナティブ投資とリッチクイックスキームについてクライアントと話し合う。
Illustrations by Michael Morgenstern

皆さんは投資信託や年金の説明は完璧にできるはずです。しかし「ダチョウの飼育場への投資」の相談を受けたらどうしますか。

Lee Clarke(UK、31年間会員)には後悔があります。「そんな投資は聞いたことがありません」と見込客を説得できたはずでした。1990年にまだGoogle検索は普及していませんでしたがClarkeは教訓を学びました。ダチョウは暖かい地域で生息し、飼育場があるとされたベルギーは繁殖に不向きであることもこの件で知りました。それ以外にも投資会社が怪しげであったこと、投資リターンの回収方法を指定できないことなど、疑わしい点はありました。極めつけは投資の根底にある基本理念でした。

「クライアントが何に投資したいかではなく、なぜ投資したいのかが重要なのです」とClarkeは強調します。

もちろん「なぜ」の答えは数えきれないほど存在します。また昨今のグローバルな投資環境においてはある程度のもうけ主義や不確実性は避けられません。特に不安定な市況と新型コロナウイルスの世界的まん延による相乗効果で金融市場は混迷を極めています。今こそ世界中のMDRT会員とつながり、この困難な時期にクライアントや投資家がどこに向かおうとしているのかを知るべきです。「今までのルールはもう役に立たない」からと言ってクライアントがリスキーな投資に傾くのを阻止するために、アドバイザーはどのように備えればよいのでしょうか。

フラストレーションとは

Surojit Kala, CIC, FSS(インド、10年間会員)は「タイミングと緊急性」も安易な投資の要因となると指摘します。Kalaは以前、美術品や骨董品などの「お宝収集」を趣味とするクライアントを担当していました。しかし美術品は現金化しにくく、誰にでも売れるものではありません。Kalaはクライアントに何度も警告しました。

ある日、クライアントが「家族のために急に大金が必要になった。別荘を売却したい」と連絡してきました。高価な美術品がたくさんあるのに、なぜ家を売らなければならなかったのでしょうか。インドではコレクションの持ち主が経済的問題を抱えると、足元を見られ、満足のいくオファーを提示するバイヤーを見つけることができないのです。

「ある日急にお金が必要になっても美術品では全く対応できないということを学びました。豊かに暮らしているように見えても、誰も買いたがらない高額な品ばかり所有していると、大きな経済的問題に直面することがあります」とKalaは言います。

投資はロジカルに

「アドバイザーとしてクライアントに望むことは、感情的ではなく理論的な投資をしてほしいということです。感情が先走ると誤った判断をしがちです」Jamie McIntyre, CFP(オーストラリア、9年間会員)は言います。この一例が「暗号通貨」取引です。正しい情報や理論というよりも、好奇心と流行によってブームが過熱しました。ビットコインに代表されるデジタル通貨の一種で、株式のように毎日取引所で売買されます。40代前半のクライアントは年下のスタッフがビットコインで盛り上がっているのを見て興味をそそられました。

McIntyreによると仮想通貨への投資に規制が無かったことは大問題でした。情報不足は不透明さとハイリスクを助長します。

ブームが過熱するにつれてFOMO(fear of missing out)つまり「チャンスを逃すことへの不安」が高まりました。「みんなが大もうけしているのに出遅れてしまった。一体何が起きているのだろう」という焦りです。「この手の商法は手っ取り早く金もうけしたいという、人間の欠乏感と欲につけ込みます。金融サービス業界に20年携わり、投資を学んできましたが、財産は正しい判断を日々積み重ねることによって蓄積されます。運だけで短期的に財産ができることはありません」とMcIntyreは強調します。

彼のクライアントはビットコインに多少手を出しましたが価値は頭打ちです。これらのオルタナティブ投資が投資戦略に占める割合は5%程度と小さく、ポートフォリオの主力商品になることはあり得ません。McIntyreはこれは重要なメッセージだと指摘します。

「見込客やクライアントが投資判断をする場合、心の奥底に『なぜそうしたいのか』という動機があります。その内容について深く尋ねることができたクライアントから聞いた話によれば『手っ取り早くもうけたい』という思いがあったそうです。昨日起きたことは明日も起きるだろう、という楽観主義は禁物です」

不確実な時代には、伝統的な投資が好まれます。一般的に若い世代はオルタナティブ投資による損失を経験していないので、引き込まれる確率が高いです。McIntyreはこの2年間、クライアントに過去100年の市場の値動きを解説し、好景気でも自信過剰にならないように、3年分のポケットマネーに相当する保障を確保するよう説得しました。

「今クライアントに話をする理由は、市場の是正につながると思うからです。新型コロナウイルスがトリガーとなり、市場の銘柄は感情的に取引されています。市場が落ち着き安心できるような事実はまだ不十分です。市場は事実を好みます」

投資以外の要素が疑わしい場合

もちろん、市場や、市場に投資するプレーヤーは複雑で、定義しにくいことは事実です。

Morwenna M. Clarke, CFP(ウェールズ、25年会員)は、£100,000(およそ1330万円)を投資したクライアントを思い出します。多発性硬化症の血清療法を研究している会社への投資で、会社自体は合法的でしたが、投資を扱ったアドバイザーは無資格でした。(いわば、そのアドバイザー自身がオルタナティブだったのです)そして投資額の40%を手数料として徴収しました。

「クライアントには常に、損をしてもいいという金額以上を注ぎ込んではいけないと注意しています」とClarkeは強調します。

しかし市場が暴落した場合、クライアントに逃げ出さないように説得する新たな方法はあるでしょうか。Clarkeは投資を「家」に例えます。住んでいる家の評価額は下がってしまったかもしれませんが、それ以外に変化はありません。

「家の価値が下がっても、部屋が狭くなったり、お隣さんが引っ越したり、芝を刈る必要がなくなったというわけではありません。引っ越しが必要になったとしても、新たに購入する住宅の価値も下がっています。つまり、価値が下がった家と家を交換するだけの話です」とClarkeは言います。

「実際、株式相場の大幅な下落は、20年に1度の底値という、またとない好機です」

もちろん、投資戦略は依然として重要です。Jerry Jin Chong Yeo, CFP, AEPP(シンガポール、5年間会員)は「クエラピス」というバウムクーヘンに似たシンガポールのスイーツを使って、顧客にポートフォリオの理想的なバランスについて説明します。一番下の層は、ローリスクの投資(社会保障、個人年金保険)で、ケーキの最も大きな部分を占めます。上に向かうに従って薄い層、つまりハイリスクの投資を積み上げるイメージです。

とはいえ、Yeoは例外的なケースも体験してきました。あるクライアントは以前「投資の教祖」とされる人物のアドバイスをうのみにしてしまいました。その人物はセミナーを開催し、海外の不動産投資のための資金をクラウド・ファンディングで調達するというプランを宣伝していました。何の規制も受けずに気が付くと教祖は姿を消しました。クライアントは投資した金を全て失ったのです。

この経験を生かしクライアントからクラウド・ファンディングによる投資について尋ねられたら(例えば、ギターのオンライン・レッスンを知り合いに提供するというビジネス・モデルで第2のAmazonを目指したいという会社への投資など)、Yeoは冷静になるようアドバイスします。

昨日起きたことは明日も起きるだろう、という楽観主義は禁物です。
— Jamie McIntyre

まず、会社のリスクを評価することが重要です。クラウド・ファンディングで資金調達する理由は銀行融資を受けられないからかもしれません。そして自分が使える手持ち資金の中から、いくらまで投資に回すことができるのかを判断することも必要です。

「そのクライアントは投資のコンセプトに将来性を感じ、必ず成功してひともうけできると信じて込んでしまいました。そんな彼に私が言えた言葉は『このお金は投機目的の財布から出たもので、失ってしまったとしても100%納得できるお金でなければなりませんよ』これがやっとでした」とYeoは回想します。

投資のアイディアにチームでアプローチ

Yeoは時々仲間のアドバイザー同士のネットワークを使って交流し見落としていることはないかを確認するようにしています。

Adam Llewellyn Morse, CFP(オーストラリア、9年間会員)にとってもチーム・アプローチは大きな成功でした。21年半に渡り仲間と作った「投資会議」を活用しています。メンバーは同業者2名とマクロ経済や投資に詳しい専門家3名です。この会議ではクライアントから持ち込まれた投資プランについて意見を交わし新たなアイディアを提案します。効率的なマーケティングのポイントとして大変有効です。

クライアントから「オルタナティブ投資をやってみたい」と相談された場合、Morseには役に立つ「見分け方」があります。オルタナティブ投資を保有するのは顧客のおよそ25%に相当します。イングランドの空港建設プロジェクト(実に最低100万ドル)から再生可能エネルギーまで実にさまざまです。このようなクライアントはたいてい分散投資によるリスク回避を求めています。持ち込まれた投資話は、総資産、既存の投資、流動性などに応じてケース・バイ・ケースで対応します。

また、Morseの会社では運用一任勘定を交わしているので個人の取引を行う権限を持たなくても、クライアントに代わってポートフォリオを変更することができます。

「相場の変動が激しいときはポートフォリオの守りを重視します。最初に決めた戦略にむやみに固執し『大丈夫だろう』と楽観せずに踏ん張ります。再び日が差して来たら攻めの姿勢に転じてチャンスを捉えます」

Brendan E. McCarthy(マサチューセッツ州、13年間会員)は投資の目標を最重視します。特許ポートフォリオ、塗料会社、レストランなど、クライアントから持ち込まれたどんなアイディアも、短期、中期、長期的目標に相互参照させます。ファイナンシャル・アドバイザーとしての基本的な務めはクライアントの衝動を長期的な戦略の中で捉え直すことです。

McCarthyは「あなたを守ってくれる適切な土台はありますか。あるいは投資したお金を失っても耐えられますか。最初に投資に回す資金は損失となり、長期的な目標の中でどのように位置付けるかについて話します」と尋ねます。

「1年、2年、3年、5年分の事業収入、生活費の支出、手元資金をどのように予測していますか。投資の柔軟性はありますか。あなたの長期的なゴールは何ですか。その50万ドルは新規投資に回すより、自分の口座に預けておいた方が良いのではありませんか、と説得してみます」とMcCarthyは強調します。

常に動機を理解することが重要です。Lee Clarkeのクライアントはチャリティーに関心を持っていました。ダチョウの飼育は環境に優しく、拡大すれば社会の利益になると考えたのです。

その女性クライアントは退職までに10年~15年ありました。そこでClarkeは退職後の収入を補うため、他の投資を勧めました。「私たちはエシカル・ファンド(倫理的なファンド)を紹介しました。環境保護に貢献するビジネスを営む企業に投資し、環境に有害なビジネスには投資しないファンドです。

この女性は最近離婚したばかりで独身でした。将来の蓄え(nest egg)が欲しかったそうですが、ダチョウの卵はダメです」

怪しげなオルタナティブ投資を見抜くための質問

  • この投資をしたい理由は何ですか。
  • この投資はポートフォリオや将来の目標とどのように合致しますか。
  • この投資を裏付けるデータはありますか。
  • この投資にはどのような規制がありますか。
  • リターンが発生する条件は何ですか。いつ頃、どのようなリターンを予測していますか。

McIntyreの見解:若い世代はなぜ非常に高いリターンを求めるのか

「世の常としてほとんどの方は経済的安定を求めます。好きなときに好きなことができるお金を持ちたい。けれどもその方法は人によって異なります。暗号通貨を買う人は手っ取り早く稼ぎたいのです。結果を辛抱強く待つという忍耐力が備わっていません。その傾向は若い世代に多く見られます。『もし損をしても時間はある。取り返せばいい』と考えるからです」

CONTACT

Lee Clarke lclarke@toptrak.com

Morwenna Clarke morwenna@portlandwm.com

Surojit Kala surojitkala@gmail.com

Brendan McCarthy brendan@mccarthyfinancialllc.com

Jamie McIntyre jamie@macfinancialadvice.com.au

Adam Morse adam.morse@thebluerock.com.au

Jerry Yeo jerryyeo@rocketmail.com

 

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