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営業マンとして根本的に何が必要なのか、どういう心構えで仕事をするべきなのか。そういう観点から、
管理職を歴任しながらも「最後は営業マンで締める」と、フルコミッションの道を歩み続ける現役営業マ
ン今川祥弘氏に話を聞いた。
営業マンの根本とは何でしょうか?
「やはり起商探客に尽きるのではないかと思います。1 週間に15 人のアポがあれば 12 13 人の商談はできます。それを欠かさない状態にすればスケジュールがつまり、結果的に仕事が回
るようになります」
私も営業マンの経験がありますが、そのモチベーションを維持するのが最も大変ではないでしょうか?
「その通りですね。端的に言えば質と量の高い人が優秀な営業マンということになるでしょうか。そのためには、まず目標の 高さだと思い ます。それにも増して必要なのは覚悟です。覚悟が足らないから結果が出ないのではないでしょうか?」
覚悟ですか?
「誰のために仕事をしているのかということでしょうか。もちンは必要ですし大事です。でも、仕事そのものは契約者のため
にするという意識がないとだめだと考えています」
それはなぜですか?
「最も仕事がうまくいく営業方法は紹介をもらうことです。しかし、黙っていても紹介はもらえない。そのためには、契約者が自分のためになる情報や気づきを与えてくれる信頼できる営業マンでないといけません。そうすると、契約者のために仕事をしなければならないのは当たり前のことです。つまり、”売り方”が重要な問題になってきます」
保険の売り方ということですか?
「そうですね。例えば、保険金の給付手続きだけをして終わる営業マンが多くいます。しかし、その陰には多くのことが秘め
られていることが多いと思います。例えば、病気をした人であれば、この人は今後働けるのだろうか?もしかしたら障害が残るのではないだろうか?ということです。そういった情報を普段のコミュニケーションの中からきちんと得ていると、社会保
険事務所や役所に行って保険契約とは別の手続きを案 内することによって、契約者が知らない制度でさらに助かるかもしれませんし、安心できるかもしれません」
そうなると、営業マンも知識が必要ですね
「そういうことです。ですから、普段から社会保険事務所や役所に行って最新の情報を得て勉強しておきます。そうすれば、保険契約とは直接関係のない情報であっても、契約者が信頼してくれて、初めて別の契約を申し込んでくれたり、先ほども言ったような紹介をいただけたりと、仕事がきちん と回っていきます。そういった努力を惜しんではいけないと思うのです。そして、何度も申しますけどその勉強や情報は自分のためではなく、契約者のためにあるいは、今後契約者になる人のため、つまり広く人のために仕事をしているのだという覚悟を持つことなんです」
保険会社全体として、例えば外交員の親族や友人などの紹介がなくなると使い捨てにするような風潮はありませんか?
「あると思いますね。保険業界全体としても、そうしたことをなくす取り組みはしているのだと思いますが、まずは会社が教
育レベルを高めることが重要だと思います。自分はだれのために保険を売っているのかという意識を会社レベルで教育するこ
とと、もちろん知識を得るための資格取得に挑戦する、あるいはさせる等の教育努力も大切だ と思います。保険会社の使命とは、保険金をお支払いするという”経済的保障”と、将来の安心を担保するという”心の平和”を売っているのですからね」
最後に、今川さんは最後は営業マンで締めくくりたいということで、フルコミッションで現役の営業マンを続けられていますが、いつまで営業マンをされますか?
「いやー、いつ引退しようかといつも考えているところですよ。実際問題として、後任に後を託さなくてはなりませんし私の思
いを伝 えていくことも大切だと思います。でも、やはり営業マンでいたいですね。(笑)」
根っからの営業マンという感じの今川氏からは、いわゆる営業オーラというよりも仕事に対する「信念」というものを感じた。
仕事は違えども私も金融機関の営業マンを務めたことがあるので、氏の言葉は実はどこの営業現場でも聞くことのできるむしろ当たり前のことが多いのも事実だ。
しかし、その当たり前のことを信念をもって継続的にやりきる覚悟こそが、営業の神髄ではないのかと改めて感じたインタビューだった。
それはまさに人のために生きるという「生き方」に解を求める「売り方」を実践している営業マンの姿ではないだろうか。
Interviewer Profile
聞き手:フリーランスライター古川智規
金融機関で外国為替や国際商品のディーラー・ブローカー業務を経験した 3 級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)。
現在はフリーランスライターとして、主にウェブメディアでノンジャンルの記者として執筆活動。