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Daniel Pink

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タイミングがすべたどいうことは誰でも知っています。しかし、タイミングについて十分な知識がないことが問題です。仕事に追われて忙しく暮らしている我々は、カンと習慣をベースに「いつ」という意思決定をしています。Pinkは科学的な分析に基づき、完璧なタイミングとは芸術であるということを証明しました。

本日はタイミングについて、また研究をはじめた経緯や研究の過程で学んだ重要なポイント、そして、それらを皆さんの人生と仕事にどのように適用できるかについてお話しします。

時間の研究をすることにしたのはストレスを感じていたからです。実生活では時間関係の判断をする場面がたくさんありました。いつこの仕事をやるのか?エクササイズは何時に行うのが良いか?プロジェクトはいつから始めよう?効果の上がらないプロジェクトをいつ打ち切ろうか?中だるみを克服する方法はあるのか?

私の判断基準はとてもあやふやでそれがストレスになっていました。多くの人と同様、決断は証拠や事実、その他の知的な戦略に基づいて下したいものです。アドバイスを探し求めましたが、驚いたことにほとんど見つかりませんでした。

本件に関する研究はないものかと思いました。私は以前に書いた数冊の本の中で、社会学を用いてより効率的に賢く働くためのアドバイスやコツをご紹介してきました。

調べてみると膨大な数の研究が見つかりましたが、いずれも限定的でした。研究の対象は一つの領域ではなく数十の領域に分かれていました。経済の研究もあれば心理学の研究もあります。分子の研究、プラーナ(インド哲学のエネルギー)生物学という学問分野もあります。麻酔学と内分泌学のような医療科学の研究もありました。

多くの科学者が同じような問いかけをしていましたが、互いに対しては無関心でした。経済学者が心理学者と話し合ったり、心理学者が生物学者に相談することはありません。生物学者は麻酔学者に相談しません。

しかし先程言ったように彼らの疑問には共通点があります。人の心理や行動は時間帯によってどう変わるのか、最初と最後とその中間では人にどのような影響があるのか、どのようにして他者とタイミングを合わせるのかなどです。

幅広い研究をしっかりと行うことにより、時間管理の決定を賢く短時間で行うための根拠に基づいた方法を組み立てることができると思いました。

広範囲にわたる研究の全てを話す時間はないので、「一日」という単位に注目してお話します。

人がどう思おうと、時間の単位の多くは自然ではありません。例えば1秒は絶対的なものではありません。人が作り出したものです。同様に1週間も人間が作った概念で、7日ではなく9日にすることもできました。

しかし一日は絶対的な単位です。私たちは地球という惑星に住んでいて、1日24時間で回転しているからです。それについて口をはさむことはできません。

「一日」はどのように私たちに影響するでしょうか?非常に重要な影響を与えています。一日の中に隠れたパターンがあり、人の感情とパフォーマンスに深く影響しています。

その科学的な根拠をシェアし、どのように対応すれば良いのかについてお話しします。気持ちに関する二つの研究とパフォーマンスに関する二つの研究があります。

最初の研究: ビッグデータの活用は研究者が人間の行動パターンを理解する方法の一つです。研究者が使うツールの一つに linguistic inquiry word count (LIWC) または「言語調査と言葉のカウント」があります。これは強力かつ広く利用されているテキスト解析プログラムです。このプログラムにテキストを読み込ませると対象言語を瞬時に分析します。

コーネル大学の研究者は数年前にLIWCを用いてツイートという独特のテキスト群を分析しました。84カ国250万人のユーザーが投稿したツイート数は5億にものぼりました。

LIWCができることの一つに使用した言葉の感情レベルを測定する機能があります。言葉がポジティブな気持ちを伝えるのか、ネガティブな気持ちを伝えるのか、その中間のニュートラルな気持ちを伝えるのかを評価します。

研究チームは投稿されたツイートをプログラムに読み込ませ言葉の感情レベルを測定しました。ツイートには時間が表示されますから感情レベルを時間別にグラフ化しました。

すると感情レベルはまず上昇し、次いで下降し、最後に回復するという共通のパターンが出現しました。ピーク、谷、回復期がありました。上、下、上です。

これが一つ目の研究です。二つ目を見てみましょう。

この研究は経済学でノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンが行ったものです。数人の経済学者とチームを組んでさまざまなメソッドを作りました。チームは Day Reconstruction Method(一日の再構成メソッド)と名付け、参加者は一日の中の特定の時間にとった行動と抱いた感情を記録します。

カーネマン等は一日を通した人々の感情をグラフにしました。そして感情レベルが上昇し下降し回復するということを発見しました。ピーク、谷、回復期または上、下、上です。

グラフをもう一度見てください。〔視覚画像〕二つのグラフは完全には一致していません。しかし流れは一緒で類似した曲線を描いています。ピーク、谷、回復期という同じパターンです。

以上が気持ちに関することです。気持ちは重要です。しかし皆さんのようなハイ・パフォーマーが一番関心を持つのはパフォーマンスについてでしょう。一日の中でパフォーマンスに変化があるのかは非常に興味深いテーマです。

ニューヨーク大学の研究チームは先程のLIWCを使って別の大規模なテキスト解析を行いました。対象はツイートではなく上場企業の収支報告です。先程と同様サンプル数は膨大で、2,100社による26,000件のテレビ会議による投資家向け収支報告の筆記記録を6年半以上に渡って収集しました。

気持ちのパターンには変化が見られたでしょうか。収支報告を分析すると、受けての気持ちは一日の中で変化していることが分かりました。これは理にかなっています。収支報告の良かった会社は特定の時間帯に業績を発表し、悪かった会社は別の時間帯に発表していました。基本的なパターンは同じでした。

午後に発表される業績にはネガティブ、短気、闘争心などの特徴がより強く見られ、午後に収支報告を予定している会社の株価に一時的に不適切な影響を与えていました。

業績発表は通常CEOやCFOといったそれなりの才能がある人々が行います。会社のトップはこうした発表に備えて要点を押さえ質問を予測しリハーサルを行います。また巨額の資金がからんでいます。

しかし人間である以上完全ではありません。日周リズムは非常に強力なので、数百万ドルの資金の責任を負う経営者がいくら有能で準備万端でも影響されます。

その影響は甚大なので研究チームは研究者らしからぬことをしました。具体的で実際的なアドバイスを提言したのです。

この調査から企業のトップが学ぶべきことは、投資家とのコミュニケーションやその他の経営に関わる決定交渉は一日の早い時間帯に行うべきであるということです。

以上が会社のパフォーマンスに関する研究です。

次に教育についてお話しします。デンマークには米国と同様全国統一テストがあります。デンマークの統一テストは鉛筆やマークシートではなくコンピュータを使います。ただし、デンマークの普通の学校ではコンピュータの数より生徒数のほうが多いです。そのためテスト当日に全員が同時にテストを受けることができません。生徒たちは時間帯を変えてテストを受けるためにランダムにグループ分けされます。早い時間に受ける者もいれば遅い時間に受ける者もいます。

それで成績に影響がでるでしょうか?

確かに影響します。研究ではテスト時間が1時間遅ければそれだけ成績が下がることが分かりました。1時間の遅れは低所得の家庭、親の教育の欠如、学校を2週間欠席するのと同等の成績低下を招きました。

影響力は大きいです。午後に受けると学校を2週間欠席するのと同じ結果になるような統一テストを教育政策の土台にしたいですか?テストを別の時間に受けていたらもっと良い結果が出たはずなのに、これが生徒を正当に評価する方法と言えますか?

学校や会社のパフォーマンスだけではありません。影響はあらゆる場所に見られます。

医療についてお話しします。このプレゼンテーションでは「重要な医療行為などの予約はできれば午後は避ける」ということを最低でも学べます。

数値で説明します。麻酔ミスが起きる頻度は午後3時は午前9時の4倍多いです。手洗いは院内感染の第一の予防法ですが午後になると著しくおろそかになります。医師は午前の診察より午後の診察で不必要な抗生物質を処方しスーパー耐性菌の増加をもたらしています。結腸内視鏡検査における午後の腫瘍発見数は同じ母集団に対し午前のわずか半数でした。

もう一度言いますが、病院へ行く時間を選べる場合や重要な医療行為の予約をする場合は可能な限り午後は避けてください。

要するに時間の影響はどこにでもあります。そこで得られた知識の核の部分をまとめ、それに対して何ができるかをお話ししましょう。

広範囲にわたる研究によって三つの要点が明らかになりました。

第一に、認知能力は一日を通して一定ではなく変化します。これは意外でした。もっと早く知っていれば良かったと思います。知力が一日中安定することはありません。しかし私たちは集団のときも個人のときも、知力は時間帯に影響されないという前提のもとで仕事の予定を決めています。

第二に、一日の能力の振れ幅は思っている以上に極端に動きます。頂点と底の差はとても大きくなることがあります。

第三に、仕事をするのに最も良い時間帯は仕事の性質によりまちまちです。ある時間帯は特定の仕事に向いており、別の時間帯は別の仕事に向いています。

解決策を考えましょう。社会学者が「シンクロニー・エフェクト(共時態:ある特定の一時点における変化)」と呼ぶ現象に関係しています。仕事のタイプもありますが朝型、夜型などのタイプもあるので、業務や仕事のタイプと自分のタイプと時間帯がぴったりと一致するのが望ましいです。

ここでいう「タイプ」とは時間生物学者が「クロノタイプ」と呼ぶものです。朝型人間と夜型人間についてはご存じだと思います。これがクロノタイプで科学的根拠のある概念です。朝早く起きて夜早く寝る人がいます。遅く起きて遅く寝る人もいます。ほとんどの人はその中間にいます。

それぞれの型の割合は次のようになっています。約15%は朝型の傾向がとても強くヒバリ型と呼ばれます。約20%は夜型の傾向がとても強くフクロウ型と呼ばれます。残りの3分の2の人はその中間で私は「第三の鳥」と呼んでいます。

簡単にするためこの三つの型を二つに編成します。フクロウ vs. 非フクロウです。大体80%の人のピークは早朝に訪れ、谷は昼過ぎから午後3時頃、そして回復は夕方から夜にかけて訪れます。ピーク、谷、回復のサイクルです。

フクロウはもっと複雑です。フクロウのピークは一日のずっと遅い時間帯に訪れ、完全に日が暮れていたり深夜だったりします。非フクロウと比べてかなり遅いということがポイントです。

多くの人が朝に経験するピークは、人が最も警戒し緊張感を持っているときです。ピークの属性は警戒心です。警戒心があると気が散りません。ピークはレポートの執筆、大量の計算、戦略の構築など集中力と緊張感が必要な仕事をするのに最適な時間です。注意散漫になったり集中力が切れたりしないのでより良い仕事をすることができます。ほとんどの人のピークは一日の早い時間です。フクロウのピークは夕方から夜にかけてです。

多くの人にとって谷は昼過ぎから午後3時頃に訪れます。通常一日の中で最も嫌な時間です。パフォーマンスは大きく下がります。医療とビジネスのケースを先程お話ししました。裁判官や陪審員の決定にもその影響が見られます。自動車事故のデータにさえ影響が出ます。

谷の時間帯は認識能力やクリエイティビティをそれほど必要としない事務的な作業をするべきです。決まったメールの返信や経費報告書の記入、ファイルの整理などです。認知機能が衰えているときは難しい仕事は最低限にしてください。

回復期は一日の中で最もエキサイティングな時間です。ポジティブな気分は再び上がりますが警戒心は低いままです。警戒心のない前向きな気分を想像してください。これは有益な組み合わせで、心は解放された状態になります。この精神状態にぴったりなのは明確な解決策のない問題に取り組んだり、新しいアイディアを次々と思い浮かべたり、ブレイン・ストーミングなど心理学者が洞察的作業と呼ぶものです。このような仕事は気分が上がって警戒心が低いときにはかどります。

やることはシンプルです。分析的思考力が必要とされる仕事はピーク時に、事務的な仕事は谷の時に、洞察的な仕事は回復時に行うというやり方です。正確な時間は科学的手法を使っても特定できません。「ヒバリ型と第三の鳥型は7時半から仕事を始め、42分働いたら11分の休憩を取るように」といったきっちりしたルールはありません。現実はもっと複雑で曖昧です。個人差もあります。しかし全てに当てはまる原理はピーク時に分析的作業、谷に事務的作業、回復時に洞察的作業です。

問題はこの原則を適用しないことです。私も最近まで適用していませんでした。私は作家でフクロウ型よりヒバリ型に近いです。執筆は朝に行うべきで、やろうと何度も思いました。しかしオフィスに着いてまずやることは何でしょうか?メールの返信です。分析的作業をするべきピークの1時間を大して頭を使わない仕事に費やし時間を無駄にしていました。メール返信は谷の時間に取っておいて貴重なピークの時間を生かすべきでした。

しかし私よりひどい例があります。それはアメリカにある全ての組織です。ミーティングのことを思い浮かべてください。ミーティングを予定するとき、確認するのは関係者が集まれるかどうかだけです。誰も何を目的にした会議か、何を話し合うのか?会議室に閉じこもり集中力や分析力を必要とするか?自由な発想やクリエイティビティが期待されるか?それとも出張費の説明を聞くだけの集まりか?などを考慮せずに時間を設定します。

また出席するメンバーの特性も考慮しません。ヒバリ型のMariaでも、フクロウ型のReggieでもどうでも良いのです。

重要なのは、MariaとReggieの時間が空いていて三階の会議室が使用できるかどうかだけです。

ミーティングや組織のために人は膨大な時間を使っています。しかしミーティングを「いつ」開催するかについての戦略はゼロです。改善の余地はたくさんあります。

私たちはその方法を知っています。いくつかの提案があります。

  1. 個人でもチームでも仕事のスケジュールを意図的に考慮して決めてください。私たちはto-do-listを作り、何をするのかを把握します。人事部を置き、誰がどの仕事をするかを意識します。しかしいつやるのかについては無関心です。関心を持ってください。これはとても重要なことで、戦略的・意図的に行動しなければなりません。
  2. 先程述べたように設計原理はシンプルです。ピーク時は分析的作業、谷の時間は事務的作業、回復時は洞察的作業を行ってください。
  3. もっと頻繁にもっと質の良い休憩を取ってください。休息に関しては新たな科学的発見があり、休憩は考えている以上に重要だということが分かりました。がむしゃらに突き進むのは、それほど良い結果を生みません。休憩はアマチュアが取るものでプロは取らないと信じていました。今は休憩はプロが取るもので、アマチュアは取らないことが分かります。

さらに最新科学は正しい種類の休憩について教えてくれます。一人よりも皆で休憩する方が回復力は増します。休憩中はじっとしているよりも動いた方が効果的で、中にいるより外へ出る方が元気になります。また仕事から中途半端に離れるのでなく、完全に離れる必要があります。

理想的な休憩を取りたければ、携帯電話を職場に残して好きな人と15分くらい散歩をし、仕事以外の会話をしましょう。

さらに重要なこととして、もっと良い仕事をもっと気持ち良く行いたいなら、「いつ」やるのかを「誰と」「何を」「どのように」と同じくらい真剣に考えてください。私たちは皆「時」の流れの中で生きています。それを理解して行動を起こすことで今までより少し賢く働き、少し上手に生きることができるでしょう。

Pink

Daniel Pink はモチベーションを科学することにより改革を加速させ、よりよいリーダーを育成している。New York Timesのベストセラー作家であるPinkの最近の著書は “When: The Scientific Secrets of Perfect Timing(完璧なタイミングの秘密を科学する)”です。生きる上で不可欠なタイミングを探求し続けています。最先端の心理学と生物学、そして経済学を蒸留することでPinkはすべての人の最適なタイミングの新しいパラダイムを示します。Pinkの受賞歴のある著書はこれまでに38ヵ国語に翻訳され世界で300万部以上が売れています。モチベーションを科学したTED Talkは最も視聴者の多いトップ10入りを果たしました。

 

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