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商品ではなくプランを重視

Jedediah Harrison Levene, CFP, CLU

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ビジネスの成功は、商品ではなく経営計画に基づいて業務やクライアントとの信頼関係構築により達成するものです。包括的なウェルス・マネージャーとしてより大きな成功を実現するために、商品を提案するのではなく、商品は一番最後の手段として扱う方法でさらに飛躍する方法を伝授します。計画・保障・プロジェクト・夢という独自の金融計画プロセスについて解説しながら、すぐに使えるツールを提供します。毎年の保障内容の見直し、進捗状況の報告方法、クライアントの中核的なニーズを判断する方法、こうした数値をプランニングのために利用する方法などを紹介します。

24歳の頃を思い出します。私は勧誘されたのではなく、自分で選んでこの業界に入った少数派です。金融サービスの仕事でビジネスとキャリアを築こうと決めていました。この業界に入った人の多くが経験するように、私もこの仕事を始めた頃、ドキドキと不安が半分ずつでした。ご想像いただけると思いますが、強い不安を感じた時期もありました。

あの頃は私の人生でエキサイティングな時期でした。妻と結婚し、新居を購入したばかりで、自らが選んだキャリアを歩み始めていました。全てが輝き、全てが新生活を妻と共に築く上での象徴のように思われました。そんな時期、生活を一変するニュースを妻から伝えられました。彼女が三つ子を妊娠したというのではありません。妻は恵まれた給料をもらっていましたが、その仕事を辞め、Teachers College (訳注:コロンビア大教育学大学院)に行く決心をしたとのことでした。彼女が仕事をやめて大学に戻ると、二人の生活費に困ることは明らかでした。

この時私は人生の交差点に立ちました。彼女が常に私を支えてくれたように、私も彼女の職業上の選択を支援したいと思いました。彼女が目標を達成できるようにしっかりと支えたいと願いました。そして、住宅ローンの支払いに滞るようなことは絶対に避けたいとも思いました。駆け出しのファイナンシャル・アドバイザーだった私は100パーセント手数料の自分の給料だけに頼って生活するのが非常に怖かったのです。当時私はまだアドバイザーとしてのトレーニング中でした。

この仕事が想像していたようなものではないと、トレーニング期間が終わってすぐに気がつきました。資格を取得し、名刺を印刷してもらって、オフィスに座っていればクライアントから電話がかかってくるものと思っていました。しかし、実際は違いました。この思い違いは少し苦い思い出です。一所懸命働くことはそれほど気になりませんでした。住宅ローンが払えなくなる恐れに比べれば、電話をかけることもそれほど気になりませんでした。しかし、仕事が立ち行かなくなるのではないかとしょっちゅう不安でした。定着率が10パーセント以下という業界ですから、私の恐れは論理的だと言えます。トレーニング期間のドキドキと恐れ半分の気持ちは、恐れが大部分を占めるようになっていました。

私はクライアントに最善のサービスを提供していないのではないかというプレッシャーに悩まされていました。例えば「25万ドルの定期保険が必要です」とおっしゃるクライアントに会いに行き、私は「ありがとうございます。こことここにサインをお願いします」と言い、サインをいただいたら、先方の気が変わってしまわないうちに急いで失礼していました。

今思えば私は経験不足で、恐れていて、しかもお金が必要でした。私はクライアントにひどいことをしていたと、まもなく気がつきました。私を信頼される方々に対し(私が自覚していたかどうかは別にして)その方々にふさわしい真のサービスを提供していませんでした。生活の糧を得るため、セールスでお金を充分に稼ぐことに集中していました。しかし実際にクライアントの助けになる良い方法を学ぶのに、それほど時間はかかりませんでした。

過去14年間、学び、腕を磨いてきた方法のおかげでセールスの必要さえなくなりました。この業界で成功を収めること、そしてセールスも紹介をお願いする必要がなくなることがどんなに素晴らしいか、うまく言葉では説明できません。今からその方法を紹介できるのを非常に嬉しく思います。今日皆さんがこの会場を出る時に、ビジネスを変革するツールとプロセスを身につけていることを約束します。

目的への手段

私はカナダに住んでいます。カナダでは雪がたくさん降ります。湿った雪の層の下には、滑りやすい氷の層があります。すると自動車事故が非常に多くなります。カナダでは季節が変わるとタイヤを交換して事故を防いでいます。夏用と危険な冬用タイヤを1セットずつ用意しています。毎年11月頃に自動車の整備工場に予約をとり、夏タイヤを冬タイヤに換えてもらいます。整備工場に向かう際、私は二つの目標を決めています。私や家族が道路上で安全に走行できるように、冬タイヤをきちんと取り付けてもらうことが一つ。もう一つはショールームの新車に一目惚れをしないことです。

写真を数枚見ていただきましょう。整備士が冬タイヤを正確に取り付けるのに使う様々な種類のレンチです。(視覚資料)

ここで質問です。自分の車を整備するのに整備士が使うレンチに興味がある方はいますか。どなたもいらっしゃらない。そうですよね、私も全く興味がありません。どのレンチを使おうが、他のツールを使おうが、はたまたどこのメーカーの道具なのかなど、冬タイヤが私の車にきちんと安全に取り付けられている限りは気にしません。

ABC社のラグレンチはXYZ社のラグレンチと同じ機能ですかって。もちろん同じです。どのレンチを使うか気にする人なんているでしょうか。

ここで良くないニュースを皆さんにお伝えしなければなりません。知ったら傷つくかもしれません。本当に大丈夫ですか。覚悟はいいですか。ではお話しします。

ファイナンシャル・サービス業界で提供する商品に対するクライアントのお気持ちも、これと全く同じです。我々が販売する商品は一枚の紙切れに記載された約束で、クライアントは回収の必要が将来も出てこないことを願っています。

私がこれまでのキャリアで学んだ最も大事なレッスンは次のことです。この業界の提供商品は目的への手段だということ。人は目的のみを気にかけています。クライアントは目的だけ気にかけると言いましたが、クライアントは「目的重視」ではなく本当に「目的しか」気にしていないのです。

ですから、我々の仕事は商品販売というよりもクライアントが商品を活用し解決する問題が何であるかを見定めるお手伝いなのです。私にとって、最高のレンチがどれであるかはどうでもよく、冬が近づく時期に安全なタイヤが付いていないのが問題であるように、クライアントは最高の投資商品を知りたいのではなく、願う未来を手に入れられる方法を求めているのです。

言い換えますと、偉大なファイナンシャル・アドバイザーは常に目的から取り組むべきです。クライアントのビジョンを明確に理解するべきです。商品よりもクライアントのビジョンを理解し始めたら、もうセールスの必要がなくなり、紹介を依頼する必要もなくなります。

ビジョン

かつて私はクライアントの目標や夢を詳しく理解していると思い込んでいました。クライアントはある年齢で勇退したいとか必要額が貯まったら勇退したいとお話になられます。私はそういう情報をファイナンシャル・プランニングのソフトに入力しながら、自分が彼らの夢を紡いでいるように感じていました。ですから、クライアントがファイナンシャル・プランの作成途中で投げ出し、契約に至らないと非常に混乱しました。時間をかけて努力をしてプランを作成したのに、と思って私は不満でした。しかし彼らは興味がなく、私が前回の面談でお見せした内容も覚えておられませんでした。「クライアントご自身よりも私の方が彼らのリタイアメントを気にかけているのになぜだろう」と思ったのをはっきりと覚えています。

今でこそリタイアメント・プランがクライアントにとって熱い注目を浴びせる対象でも、懸命に取り組むものでもないことを知っています。私はタイミング良く非常に重要なメンターに出会い、そのことを知りました。彼が話し始めてすぐに、自分が知りたかったのはこれだと思いました。メンターはSteve Mooreという名前で、ナショナル・フットボール・リーグの元コーチであり、現在はコンサルタントをしています。アドバイザー向けに書かれた最良の本の一冊Ineffective Habits of Financial Advisors (and the Disciplines to Break Them) 「ファイナンシャル・アドバイザーの悪習(そして悪習を断つための規律について)」の著者です。

今はコーチと呼ぶSteveとの会話を思い出すと、まずビジネスで最も不満に思っていることを話すように言われました。そこでクライアントがファイナンシャル・プランに取り組もうとしないことが不満だと話しました。すると不満に思うのは私がクライアントのリタイアメント・プランを計算することはできても、彼らのビジョンを全く分かっていないからだと言われました。皆さんがクライアントのために世界中の数字を全部計算して差し上げても、彼らのビジョンを理解していなければ、決してあなたにプランを委ねようとされません。

リタイアメント・プランを作成するためにファクト・ファインドをしていて、クライアントが「旅行が好きです」と言えば「旅行」と黄色いメモ帳に記入し、次の質問に移るというようなことがよくあります。オフィスに戻り、さっきメモ帳に書いた「旅行」という言葉を眺めながら、リタイアメント・プランに旅行を組み込むのに、多少予算を振り分けることしかできないことに少しがっかりされるでしょう。これではクライアントにとって意味がありません。

旅行がしたいというように非常に曖昧なことを言われた場合に、そこを深く掘り下げる方法を考えてください。あなたがクライアントを理解していると相手に知らしめる必要があるとコーチからは教わりました。よく相手の話を聞き、正しい質問をして役に立つ情報を引き出すこと、それしか方法はありません。

卓越したファイナンシャル・プランナーになるためには、聞きにくい質問をして、深く掘り下げることに留意する必要があります。私は話し好きではないので話を掘り下げるのは非常に難しかったです。私はパーティに行くよりも家で本を読んでいたいタイプです。しかし一旦実践し始めたら、クライアントとの関係はどんどん深まってゆきました。

クライアントとの関係が深まると驚くべきことが起こります。お互い一緒にいることが快適になり、相手は個人的な情報をよく話してくださるようになるので、アドバイザーはクライアントのビジョンが理解できるようになります。その結果、彼らのニーズを満たすことができます。

クライアントが旅行がしたいと言った後、どんな会話が続けられるか例を作ってみました。
アドバイザー:   旅行ですか、楽しそうですね。行ってみたい旅行先はありますか。
クライアント:    東カリブ海には必ず行きたいと思っています。
アドバイザー:   東カリブ海ですか。面白そうですね。どの島に行きたいのですか。
クライアント:    St. Luciaです。
アドバイザー:   いいですね。なぜSt. Lucia なのですか。
クライアント:    婚約した時にSt. Luciaに新婚旅行に行きたいと思いましたが、当時はお金に余裕がなくて別の場所にしたのです。でもいつか一緒に訪れようと妻と約束したのです。
アドバイザー:   素敵なお話を聞かせてくださってありがとうございます。St. Luciaにファースト・クラスで行く旅行をプランに組み込み、その約束を果たしませんか。
クライアント:    実現できたら最高です!ビジネスで3年以内に結果を出すまで、この旅行に行くのにお金を使いたくないと考えていて、そこだけが気がかりです。リタイアメント・プランに影響を与えないで、旅行を行くことはできますか。
アドバイザー:   検討してみましょうか。リタイアメント・プランに影響を与えずに、旅行を実現するために3年間のプランを組むとしましょう。奥様とビーチに座り、キンと冷えたカクテルを手に青く美しい海を眺めながら、20年前にここSt. Luciaに来る計画を立てた思い出を語りあう様子を想像してみてください。どんなお気持ちですか。
クライアント:    お互い約束を守り、人生を一緒に築いてきたことを誇りに思うでしょう。言葉では言い表せないほど幸せな気持ちになるでしょうね。

以上の会話はちょっとわざとらしく聞こえるかもしれませんし、確かにわざとらしいところはあると認めますが、実際にあった会話です。皆さんはクライアントとこのような会話ができるでしょう。

クライアントとの関係が深まると、アドバイザーとの間に絆を感じ始めます。ビーチを訪れることができたのは、貴方のおかげだと感謝しているところまで想像されるでしょう。

クライアントがどのような気持ちがするかまでありありと想像できるプランを構築できるならば、ただ単に「旅行」という答えを引き出しただけで、次に進む場合と比べて、クライアントは貴方と契約したいと思うのではないでしょうか。

旅行の計画や勇退ほど楽しくないかもしれない事柄でも、この方法は同じように機能します。生命保険、退職、債務削減、教育資金等でも全く同じ方法が使えます。関係が深まり、クライアントの方々を真に理解し、コーチが常に言うように誰かを本当に理解できたら、実際に助けることが可能です。

ビジョンを聞き出す

食べるのが好きなことが私の大きな問題点です。残念なことに、食べると言ってもサラダの話ではありません。大学生の頃、よく一回の食事で一日分のカロリーを摂取していました。ナチョスと手羽肉の唐揚げとビールがあればそんなに難しいことではありません。若い頃は問題になりませんでした。ジムに行けば2、3キロすぐに落とせたからです。フロリダの祖父母の家でたくさん食事をした後、従兄弟から「25歳を過ぎたらこういう食事のつけがきて、今みたいにすぐに体重が落ちなくなる」と言われました。若い人にありがちなことですが、自分は別だと思っていました。

従兄弟の忠告は正しく、大学を卒業する頃には増えた体重がそのまま定着し、以前のように減らせなくなりました。体が重く疲れがちになり、どうにかしたいとダイエットの本を数冊読みました。本によって言うことはまちまちでしたが、どの本に書いていることも信じました。一見簡単そうなプランに従えないのが問題ではなく、時間がかかるたくさんのルールを守れないのが問題でした。

脂肪分の少ないタンパク質と多くの野菜を食べ、加工食品を避け、毎日30分運動をすれば体重を減らせます。言うは易し、行うは難しです。これまでの習慣を断ち、誘惑に勝ち、行動を変える必要があります。この経験や同様の経験から、新しい習慣を学ぶのは本当に簡単だが、実践は相当難しいという事を学びました。

そこで自分自身がクライアントのビジョンを聞き出すのに成功した方法を、ステップ・バイ・ステップで皆さんに紹介したいと思います。

「あなたがどれだけ親身になってくれるかを知るまでは、あなたにどれだけ知識があろうと誰も気にかけない」というセオドア・ルーズベルトの言葉は有名です。いろんな人がこの言葉を引用するのを何度も聞きました。大抵の人はこの言葉を聞いて理解した気になりますが、正しい行動に繋がることはありません。では、本当にこの言葉を効果的に実践に移すにはどうすればいいのでしょうか。子犬のような目でクライアントを見つめればいいのですか。「分かります」の波状攻撃を仕掛ければいいのでしょうか。「私が親身になっているのが分かりますか」と直接言えばいいのでしょうか。そんな事をいえば、真剣であろうとなかろうと、頭のおかしい人だと思われるのがオチです。

「この人は親身になってくれる」と相手が感じる段階の前に、まず「この人は自分を知り理解している」と感じる段階を経なければならないとコーチから教わりました。この意見に反論するのは難しいでしょう。では質問です。我々が仕事で出会った方々を深いレベルで理解するにはどうすれば良いのでしょうか。

正しい答えを見つけようとするのではなく、適切な質問をすると相手のことを知ることができます。他の何よりも信頼関係を深めるのに役立った質問を皆さんに紹介しましょう。非常に単純な質問なので、初めは自分でも結果を疑ったくらいです。さらに言うなら、質問に答えたことで感情が揺れるクライアントを私自身最初は受け止めかねたほどです。

それは「貴方についてのお話を聞かせていただけませんか」という質問です。「どちらでお生まれになった のですか」というように助け舟を出すこともあります。そうすると驚くことに、その方にとって深い意味を持つお話をしてくださいます。お話を聞きながら懸命にメモを取ることも大事ですが、クライアントがこれまでに出会ったどんな専門家よりも、心の底からその方をもっと知りたいという思いで続く質問を投げかけることが必要です。

この質問を既知のクライアントの方々にしたところ、お答えから新たに多くの事柄が分かったのには驚きました。5名にこの質問をしたところ、お二人は涙を流されました。これは絆のお話です。私は数字を計算する人間から、クライアントをどんな専門家よりも深く知り理解するプロフェッショナルへと成長できたと自負しています。

次にコーチから教わったのは、お金について他のアドバイザーのように考えないことでした。クライアントは結果を出したいのであって、判断基準や複雑な財政データはどうでもいいと思っています。勇退後はこじんまりした別荘で過ごしたいと望んでいます。整備工がタイヤ交換にどんなレンチを使うか我々が気にしないのと同じで、クライアントは投資形式がボトムアップであろうがトップダウンであろうが、成長型であろうがどうでも良いのです。気にするのは別荘で過ごせるかどうかだけです。皆さんは市場や商品の特長の話にかける時間に比べ、クライアントの目標やお気持ちについて話し合うのにどれだけ時間をかけているでしょうか。

詩人のMaya Angelouは「人はあなたが言ったことも、何をしたかも忘れる。しかし、どんな気持ちにさせられたかだけは決して忘れないものだ」と言いました。彼女のこの言葉は議論の価値がありますが、これもまた理解されないまま引用され過ぎていると思います。一人の人間としての自分をアドバイザーである貴方が深く理解し、自分のビジョンを実現するために働いているとクライアントが知ったなら、その方は貴方にプランを依頼する忠実なクライアントとなって周りに貴方の仕事ぶりを熱心に語るでしょう。

プロセスの第一歩はクライアントを知ることです。それには話を聞き出してください。しかし、クライアントのことを知るのは戦いの半分にすぎません。クライアントがこれまでの人生を語ってくださった後のステップ、これから向かいたい目標地点を聞き出してください。さて、この点についてもコーチの答えは単純でした。これも簡単な質問ながら深く掘り下げる必要がある質問です。

2番目の質問は「プランニング、費用と時間が必要な事として何を実現したいですか」です。この会話を始めるには少し準備が必要です。会話を正しい方向に導いてください。ほとんどの方は、ある時点で勇退したい、旅行したい、子ども達の教育費を援助したい、家の改装をしたいなどと考えています。先に言及したように、いくつかの質問を続ける必要があるので、メモに「旅行」と書いた後、何を聞こうかと戸惑っていてはいけません。

実際は言うは易し、行うは難しです。外交的な方は楽しく簡単に思えるのではありませんか。少なくとも私には簡単ではありませんでした。先に述べたように、私は会話好きな人間ではなく、本来内向的です。このような会話は本当に苦手です。今でもそう感じている私にできるのですから、皆さんなら必ずできます。

コーチはHarvard Business Reviewの記事を送ってくれました。人の本来の目的を聞き出す方法について洞察に富んだ内容でした。あるテクニックは「なぜ」と言う質問をすることで、1回や2回でなく、3回や4回でもなく、5回聞くというものでした。「なぜ」と5回も続けて聞くなんておかしいと思ったのを覚えています。しかし、なぜと聞けば聞くほどいろいろ見つかるものです。

要は賢く聞き出すだけのことです。「なぜ」と尋ねる賢明な方法を2、3紹介します。私は一連の単純な質問をすることで、たくさんのお金を稼ぎ、多数の人と関係を深めてきました。

  • なぜそれが大事なのですか。
  • そのことについてもっと詳しく聞かせてください。
  • 面白いですね。どうやって解決したのですか。
  • きっかけは何だったのですか。
  • なぜそれを気にするのですか。

「プランニング、費用と時間が必要な事として何を実現したいですか」という質問への答えがこれまで学んだ事柄のうちで最も重要でした。これは一連の賢明な質問とともに、クライアントのビジョンに直接つながる質問と言えます。

それの結果を皆さんに紹介します。こちらは私自身のFinancial Vision Document(ファイナンシャル・ビジョン文書)です。

ファイナンシャル・プランニングは煩雑なもののように感じることがあっても、プランニング、費用と時間が必要な事として実現したい事は5つだけしかないのをこのプロセスで発見できるのが驚くべきところです。私のビジョンを紹介するにあたり、皆さんがお読みになる際に注意を払っていただきたいことがあります。それはこれを読むにつれ、私とより深くつながる感じがするところと、私のことがよく理解できると感じるところです。さてビジョンを聞き出すのが本当に役に立つか見てみましょう。

我々夫婦は財政的に自立したいと考えています。財政的に自立しているというのは、お金の心配をしないで慣れ親しんだ生活レベルで暮らすことができるということです。

我々はGrape Islandの別荘での生活を楽しんでいます。水辺が大好きですし、別荘は家族が集まり一生の思い出を作る場所だと思っています。1、2年後には増築したいと願っています。

娘のEllieと息子のBrendanが優れた大学教育を受けることも重要だと考えています。ですから彼らを援助したいと思っていますが、彼ら自身が夏季アルバイトで教育費用の一部を負担することも望んでいます。人生で何もかも与えられるという考えを決して持って欲しくないからです。

EllieとBrendanに大学教育費用を出す一方、世界で所得格差が拡大しているのを認めています。この傾向が減退するか、なくなることを願っていますが、対策として我々は子どもたちに堅固な財政基盤を遺産として残したいと考えています。

勇退前後の時期にSt.Lucia、西ヨーロッパ(再度の訪問)、タイ、日本などの国に夫婦で、もしくは家族で旅行したいと願っています。

我々のクライアントも以上のようなことを達成したいと考えています。その際、どんなレンチを使うかはビジョンの二の次です。クライアントが本当に大切にしている事を知り、一度確認してから、彼らの気持ちに重点をおいてプレゼンテーションをしてください。例えば、私が「〇〇さんご夫妻は、私がこの5つの目標を達成する方法を紹介したらどのように感じますか」と言うとしましょう。ほとんどの場合、「満ち足りた感じです」「素晴らしいと思います」「すごい」など大体答えは決まっています。

我々がここでどんな商品を使うのかクライアントは気にしておらず、ビーチに行きたいとか、お子さんの教育資金を貯めたいと願っています。上記のような5項目の目標を達成するために我々とプランに取り組まれるのであり、達成できれば満ち足りた思いをされるとご自身でおっしゃいます。

従って、ファイナンシャル・アドバイザーとしての我々の仕事は、技術面を検討し、ビジョンの実現方法を決定することです。この時点で初めて商品が関わってきます。その前に我々はクライアントと深い絆を築いており、彼らの人となりを理解し、また彼らの向かいたい場所について明確なビジョンを持っています。プロセスが90%完成したこの時点で初めてクライアントに商品のことを伝えます。

  • 経済的な自立という目標のため、200万ドルの定期保険、就業不能保険、及び190万ドルの個人退職金積立資金をプランに入れました。
  • 別荘の増築目標については、クライアントと協力して現実的な予算を付けました。この部分は私の収入に繋がらないと思われるかもしれませんが、それは違います。予算をクライアントと一緒に考えることで、それが現実的な目標だと確認することができただけでなく、その他の提案事項も支払いが可能で現実的な目標だと証明することになりました。ここでの非常に大きな成果は、私がクライアントの別荘の工事を実現するために重要な役割を果たしたことで、ご夫婦にアドバイザーとして認めていただき、その後も意識してか無意識かは分かりませんが、その認識が変化しなかった点です。
  • お子さんの教育資金の目標のため、Registered Education Savings(訳注:カナダの教育費貯蓄プラン)として月に200ドルの貯蓄することになりました。
  • 所得格差の懸念は、300万ドルの生残者保険(連生)で解決しました。
  • 旅行の目標は、キャッシュ・フローとリタイアメント・プランに織り込みました。先述の通り、アドバイザーがクライアントについて多くのことを学び(ここでは Luciaのエピソード)、彼らの目標達成を心から応援することになりました。

クライアントの目標やビジョンを深く理解すれば、私にとってはありがたいことに販売努力はいらないと自信を持って言えます。私は営業が得意ではありませんし、良きセールス・パーソンになりたいとも思っていません。私は口のうまいセールス・パーソンではなく、信頼される専門家になりたいと望んでいます。クライアントのビジョンを実現するため、共に働きたいと望んでいます。皆さんがクライアントの重要事項を聞き出し、お手伝いし、彼らの目標を把握するために努力したならば、皆さんはなくてはならない存在になります。そうなった時に私はこの仕事をしてきて最も報われる思いがします。

ビジョンを生かし続けるために

3、4年前、オフィスが手狭で雑然となり、すっかり整理できるまで、もうここでは仕事ができないと思いました。言い訳でしたが、それでも掃除の必要があるのは確かでした。ファイルを整理していると“Weekly Success Checklist”「週間成功チェック・リスト」なるものを見つけました。コンスタントに収益を出すために一週間の面談数やファイナンシャル・プランの作成数などの重要項目を記載した自作のリストでした。リストには学習やジムに行く時間も設けてありました。このリストを活用し、何もかも記録するのは非常に役に立っていました。ですが、なぜ、いつ頃からこのリストを使わなくなったのか思い出せません。整理ができて記録としても役に立ち効果があったのは覚えていますが、なぜか習慣から(そして記憶からも!)消え去っていました。

ご自分のビジョンを話されたクライアントについても同じことが起き得るということをお伝えしたいと思ってこの話をしました。クライアントは気持ちが高ぶり、ビジョンを定めるために協力してくれた皆さんに対して非常に感謝されると思いますが、常に目の前にビジョンを提示し続けなければ、それが心から願うことであっても、やがてその存在も皆さんのことも忘れてしまいます。そうなると、商品や市場に注意を向けていた以前の段階に逆戻りしてしまいます。そこでビジョンに意識を向け続けるため、成功を測る指標のようなものが必要です。Zig Ziglar(訳注:アメリカの自己啓発作家、講演家)はかつて「モチベーションは長続きしない、とよく言われる。それは入浴だって同じだ。だから毎日することがよしとされている」と言いました。

コーチから教わった次のステップはビジョンを維持する方法でした。これには二つの方法があります。一つ目はクライアントに次の2年間を示すロードマップを提供すること。(視覚資料)クライアントと現況を充分に考慮した上で、8回の面談を予定している言うと、クライアントに鮮やかな印象を残せます。これまでそういう経験をされたクライアントがいるとは思えません。四半期ごとに見直しを行い、本来の目標に向かって進んでいるかを確かめます。ロードマップを見直して、進捗具合を確認し、これまでの達成事項を全て取り上げます。“Goals-Based Reporting”(目標ベース報告)と呼ぶツールも、変化する市場ではなく、プラン自体に注意を向けるために活用しています。(視覚資料)

このツールでファイナンシャル・プランニングの進捗状況を確認する際、クライアントの皆さんはこのレポートを気にされます。例えば折れ線グラフでリタイアメント・プランの観点から必要なレベルが確認でき、棒グラフで各四半期の投資バランスが確認できます。もし棒グラフが折れ線に触れたり、線を超えると、ちょうど良い進捗具合か、もしくは予定より進捗が早いことがお分かりいただけます。この場合、クライアントは心配する必要はなさそうです。私自身は思い返すと、過去にこういうプロセスに時間を掛けず、もっと複雑な投資や経済データに時間を費やして混乱を招く傾向がありました。投資でも保険でもこのプロセスに違いはありません。

例えば、「300万ドルの生命保険にご加入されました」とクライアントに言うとしましょう。それは「冬タイヤをつけるのに十字ラグレンチを使いました」と言うのと同じことです。あまり意味がなく、貴方をアドバイザーとして際立たせる言葉でもありません。しかし「適切な保険に加入なさいましたので、万が一のことが起きても住宅ローンは完済され、奥様は貴方の退職年齢まで収入を得られますし、お子さんの教育費用や結婚式費用は準備され、それぞれのお子さんが新居購入の際は頭金として5万ドルが支払われます」と伝えたらクライアントはどのようなお気持ちになるでしょうか。

コア・ニーズの把握

スティーブ・ジョブズは “There is… just… one… more… thing (実はあとひとつある)“ とよく言いました。

アドバイザーとして駆け出しの頃、私はクライアントと「予算」を立てるのに時間を掛けていました。この作業でよく欲求不満になったものです。クライアントは私が用意した30項目のリストに数字を入れるのに苦労しました。私は毎月「近くのスーパーでいくら使っていますか」などという馬鹿げた質問をしていました。適切に実行すれば役に立ったプロセスかもしれませんが、私とクライアントの双方にとって大いなる時間の無駄でした。面談でクライアントの毎月のキャッシュ・フローがはっきりしないので、がっかりはしましたが諦めたくありませんでした。この数字さえしっかり把握できたら、勇退後の所得、就業不能保険、生命保険、その他のニーズがより明確に分かると考えていました。

ある日、アインシュタインの言葉と言われ、よく引用される名言「ものごとはできる限りシンプルにすべきだ。しかし、シンプル過ぎてもいけない」という言葉を思い出した時、この問題が解決しました。キャッシュフロー・プランニングをできる限りシンプルにするにはどうしたらいいのか。その答えを出すために、「ご自分の尊厳を保つのに最低限お金がいくら必要ですか」という問いがまず頭に浮かびました。住居に住み続けるのにいくら必要か、車を維持するには、そして一日三食食べるにはいくら必要かという問いへの答えから、この金額が計算できました。これらの金額は言わば自動操縦的な数字で、月ごとにそれほど変わらないため計算は非常に簡単です。

クライアントはこの数字を出すのに夢中になり、その結果によく驚かれました。思ったよりも低い数字になることが多かったからです。この数字はアドバイザーとしてプランニングの観点から非常に重要でした。例えば、クライアントは尊厳を保つために次のものを最低限必要としていました。

  • 就業不能保険
  • 生命保険の所得継承部分
  • 勇退後所得として最低限の金額が保証されること(もし公的年金や厚生年金で保障されない場合は、個人年金商品や元本や利率が保証される商品で補う必要がある)

仕事で「コア・ニーズ」や「尊厳」が非常に重要な事項になったので、@-A-Glance(ひと目で分かるの意)というツールを作りました。このツールでは次の項目を細分化して表示します。

  • コア・ニーズ
  • 収入
  • 収入源の確保
  • 生活レベルを保つための収入源
  • 勇退後の生活を支える投資バランス
  • 加入済の保障商品
  • 最重要項目として各契約に加入した理由

これらの数字をご覧になるとクライアントは本当に安心するように見えました。

クライアントは年に一度このツールで更新する内容を楽しみにしていることも分かりました。ツールを作成した頃は、たまにしかお見せしていなかったのですが、そのうちクライアントから更新内容を見せて欲しいと頼まれるようになりました。人生の貯蓄段階にある働き盛りのクライアントは、投資資産価値と保証された収入源が増えるのを見て、コア・ニーズと保証された収入源のギャップが小さくなるのを見たいため、できるだけ頻繁にレビューして欲しいと強く願われるのが大きな理由だと思います。もちろんこのレビューを共有することは私にとっても楽しいことです。

つまり、商品を扱うのではなく人のために仕事をしなければならないということです。商品はただの目的達成の手段です。私がこのことを学んでビジネス哲学の核心に据えると、仕事の成果が上がるようになったばかりでなく、クライアントから見て、私がセールス・パーソンから信頼される専門家へ成長したことを心から誇りに思うようになりました。私にとってこのことはファイナンシャル・アドバイザーとして最高の経験になりましたし、今も最高だと思っています。

クライアントのビジョンを聞き出し、それを維持してもらうために協働するようになって以来、お互いの関係は深まるばかりです。クライアントのコア・ニーズ、もしくは尊厳に必要な数字を把握する作業を始めた時、提供する多くのソリューションの出発点になりました。アドバイザーが堅固なプランを構築するために十分な情報を求めるのと同じく、クライアントは明確な未来図を求めています。ウィン・ウィンの関係です。

以上を全てまとめ上げることができれば、クライアントにとって皆さんは信頼される専門家になり、二度と販売努力をする必要がなくなり、紹介を依頼する必要がなくなります。皆さんの提案がクライアントのビジョンを実現するのに必要な論理的なツールとなるからです。

皆さんの配偶者がTeachers Collegeに進学したいけれど、St. Luciaでの贅沢な休暇も諦めたくないと言ったら、ゆったりと腰かけて満面の笑みを浮かべてこう言いましょう。「ダーリン大丈夫。必ず実現しよう」

Jedediah Harrison Levene, CFP, CLU, は1回のコート・オブ・ザ・テーブルを含めて9年間MDRT会員。Dalhousie大学でMBAを獲得、 Duke大学では行動ファイナンスを学んだ。2004年に金融サービスの仕事に従事。現在は経営者と専門職の方々の目標に向けたファイナンシャル・プランニングに注力している。

 

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