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魅了するという芸術

Guy Kawasaki

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相手の人生にまでインパクトを与えるような存在になりたいですか。心に訴えかける存在感が欲しいですか。Kawasakiは、マッキントッシュのブランド開発を担当し、現在はグラフィック・デザイン・サービスのCanvaや、メルセデス・ベンツのブランド・アンバサダーを務めています。スティーブ・ジョブスの実話を交え、相手を魅了する10のアイディアをシェアしました。2017年度のアニュアル・ミーティング。

これから人を魅了する術についてお話しします。それは心の在り方と行動を変えることであり、仕事の機能性やスキルに非常に重要な役割を果たします。では最初の写真をご覧ください。私の経歴を少しお話ししましょう。

私はカリフォルニア州シリコンバレーの出身です。これは1984年頃撮影されたアップル社マッキントッシュ部門の写真です。[写真] ほとんど見えないと思いますが、私は左上の端にいます。これまでの経歴で一番の失敗は、この写真の最前列に写っていなかったことです。アップル社がこれ程大成功すると知っていたら、目立つ最前列に立ち会社に留まっていたでしょう。

皆さんのようなファイナンシャル・プランナーに相談すべきだったのかもしれません。しかし今となっては後の祭りです。この集合写真で一番の大物は、最前列に膝をついて写っているスティーブ・ジョブズです。彼は変わり者で、上司としては決して仕事をし易い人ではありませんでした。しかし彼のお陰で私は成長し、目標を達成することが出来ました。私がスティーブの名前を出すと、誰もが彼の話を聞きたがります。では皆さんの期待にお答えしましょう。

ある日、私がオフィスで仕事をしていると、スティーブが見知らぬ男性を連れてやって来ました。「Nowhereという会社をどう思う?」とスティーブが聞くので、私は率直な意見を述べました。「平凡な製品を扱う平凡な会社だと思います。我々が使うマックの製図法や色、マウス、優れた製品もあまり利用していません。ライバルになるような会社ではないと思います」すると彼は連れてきた男性の方を見て言いました。「こちらが、Nowhereの最高責任者だ」スティーブと仕事をしていると、度々非常にバツの悪い思いをする事がありました。

私は、アップル社でソフトウェア・エバンゲリストとして仕事をしていました。これはギリシャ語で良い知らせをもたらす伝道師という意味です。皆さんが良いアドバイスでクライアントに心の安らぎをもたらすように、私もソフトウェアの魅力を伝え、コンピューターの民主化に力を注ぎました。

その後アップル社を辞め、いくつかのソフトウェア会社を起ち上げました。著作活動やスピーチもするようになりました。チーフ・エバンゲリストとして一時アップル社に戻ったこともあります。現在は、オーストラリアのスタートアップ企業であるCanvaで、チーフ・エバンゲリストとしてグラフィック・デザインに携わっています。美味しい仕事としては、メルセデス・ベンツの宣伝大使というのもあります。カリフォルニア大学バークレー校、経営大学院のエグゼクティブ・フェローでもあります。以上が私の経歴です。

話を本題に戻しましょう。私は人を魅了する術をアップル社で学びました。製作者にソフトウェア開発をしてもらうよう説得しなければならなかったからです。事業を起ち上げる際は、スタートアップに参加をお願いし、インストールベースが無く、検証されていない製品を使ってもらうようお願いしたこともありました。私は、Dale Carnegyの著書「人を動かす」やBob Cialdini著書「影響力―説得の心理学」から多くを学びました。2冊とも素晴らしい本なので、ソーシャルメディアを活用した現代版を自分で書いてみようと思いました。これを機に、私は執筆活動を始めました。

さて、私はスピーチをする際、ポイントを10箇条にまとめて話します。もし私の話が退屈でつまらなくても、進み具合が数字で分かるので何とかご辛抱ください。

では始めましょう。皆さんの仕事は、殆どがマンツーマンで進められます。そこには素敵な笑顔が欠かせません。人は相手の表情を基に、好感度や信頼度を即座に判断します。

世の中には2種類の笑顔があります。歯の間に鉛筆を挟んだような作り笑いと、本物の笑顔です。これをデュシェンヌ・スマイル(フランス人の神経学者Guillaume Duchenneが名付けた)と言います。本物の笑顔には、カラスの足跡と呼ばれる目尻の皺が見られます。ボトックス注射や整形手術で皺を消したいと思っている方、考え直してください。年をとっているのではなく、あなたの魅力が増しているのです。カラスの足跡は、本物の笑顔に不可欠です。

これは、Richard Branson(イギリスの実業家。コングロマリット、ヴァ―ジン・グループの創設者で会長を務める)です。ビジネス界で最も魅力ある人物の1人です。 [映像] 彼の目尻にはグランドキャニオンの様に深い皺が刻まれています。ステップ1は、デュシェンヌ・スマイルです。

ステップ2は、常に肯定的でいることです。人に会う時は常にポジティブに、相手をどうしたら助けられるかを考えます。基本姿勢がネガティブな人は、利用されたり騙されるのではないかという不安を抱えています。私はこれまで関わった全ての仕事において、常に肯定的でいるよう心がけてきました。そうすることでプラスのカルマが生じ、常に物事が上手くいくと実感しています。騙されるかもしれないというデメリットより、肯定的でいる方が遥かに多くのメリットがあります。

ステップ3は、パンを食べる人(消費者)でなくパンを作る人(製作者)になることです。世界中の人はこのどちらかに分類されます。消費者は、ゼロサム(複数の人が相互に影響しあう状況の中で、全員の利得の総和が常にゼロになること)の思考をします。一つのパイを他者とシェアする場合、その大小や食べる順番など損得を考えます。一方製作者の考え方は違います。「パイをもっと沢山焼こう。クッキーやケーキも作ろう」とプラス思考でクリエイティブです。

「満潮はすべての船を持ち上げる」ということわざがあるように、全ての人に成功できるチャンスがあります。私の経験から、損得で物を考えない製作者は、消費者よりも遥かに魅力的です。人を魅了するには、製作者の思考をすることです。

ステップ4は、人を信頼することです。信頼関係を成立させるのはあなた次第です。信頼してもらうには、まずあなたが相手を信頼しなければなりません。

この良い例がZappos(靴を中心としたアパレル関連の通販小売店)です。何百万人という人がこれを利用しています。本やCD、DVDはさて置き、靴の通信販売が成立するとは夢にも思いませんでした。靴を買う時は、実際にそれを手に取り吟味するものだと思っていたからです。しかしZapposは顧客との間に信頼関係を築き、これを可能にしました。返品の場合も含め、送料全てを無料にしたのです。このRMA制度はほとんどの会社にありますが、そのプロセスが複雑です。わざわざオンラインで返品用の番号を取得しなくてはなりません。Zapposはその点を考慮し、利用者が配送ラベルを印刷して送り返すだけに簡素化しました。我が家でも頻繁にこのサービスを利用しています。

このスピーチの準備をしていた時、Zapposのウェブサイトで更に素晴らしい特典を見つけました。閏年の2月29日に靴を購入すると、返却期限が4年になるというものです。私の話から何も得るものが無くても、3年後の2月29日に靴を買うのは覚えていてください。

ここで大切なのは、Zapposが先に利用者を信頼したことです。会社対利用者の場合、この順番が逆になることは絶対にありません。

ステップ5は、人の在るがままを受け入れることです。面会した時、相手が自分に対して何か反感を抱いていると感じる事があります。それは性別や性的指向、宗教、肌の色、出身地、支持する政党かもしれません。自分の基準を人に押し付けようとする人がいますが、それはいただけません。相手の在るがままを受け入れる方法を学び、相手を変えようとしないことです。極端な言い方ですが、顔中ピアスだらけの人がいたとしても、外見で判断せず受け入れるべきです。

ステップ6は、同意できる話題を見つけることです。その強い味方がLinkedInです。これを使えば、面談の相手を検索し事前に学歴や職歴を知ることができます。共通の会社をフォローしているかもしれません。初対面の緊張をほぐす話のネタを探す事も出来ます。アップル社に勤務している、そこに勤務していた人を知っている、同じ大学に通っていた等どんな話題でも構いません。

さて、この写真は今の話と関係があります。[写真] ラテンアメリカの二国間で起きた興味深いお話を紹介します。この二国は重大な外交問題を抱えていました。それぞれの国の代表は、中立的立場にある別の国で会議を行いました。交渉は暗礁に乗り上げ、何日経っても解決しません。

ついに一方の国の外交官長がしびれを切らし、相手国の外交官長に言いました。「金曜日に帰国しなければならないので、それまでにこの問題を解決したいのです。妻をオペラに連れて行く約束なんです。私はオペラが大嫌いですが、妻に無理やり約束させられました」と彼は続けました。すると、一週間ずっと首を縦に振らなかった相手国の外交官は言いました。「あなたもですか?私もオペラが大嫌いですが、妻に無理やり同伴させられるのです」ついに彼らは同意できるものを見つけました。オペラ嫌いをきっかけに、外交問題を解決する関係を築きました。それがオペラでもTom Bradyでも構いません。養子縁組、スポーツ、テレビ、文学、何であれ同意できる話題を見つけることです。

ステップ7です。1930年代のDale Carnegie(アメリカの作家で教師にして、自己啓発、セールス、企業トレーニング、スピーチおよび対人スキルに関する各種コースの開発者)について考えてみましょう。彼は人を魅了する達人でした。その手段として、ホテルのボールルームのパーティに招待したり、マメに手紙を書いたのかもしれません。

現代は、ソーシャルメディア、インスタグラム、ピンタレスト、フェイスブック、リンクトイン、グーグルプラス、ツイッターといった連絡手段があります。電話やファックス、飛行機や車を使わなくても済むようになりました。デュシェンヌ・スマイルは必要ですが、技術を駆使して人々との関係をフォローし、強化することができます。しかしその技術を利用するには、アクセスを制限するハードルを取り除く必要があります。

技術面での大きなハードルは、目的のコミュニティにアクセスするまで多くのプロセスをクリアしなければならないことです。Captureが良い例です。皆さんも経験がありますね。この狙いは、利用者の気持ちを挫くような面倒なプロセスを設け、その数を減らすことです。

これはCaptureのスクリーンショットです。 [写真] 最初に入力する単語は “holber” で、それ程難しくありません。しかし次の単語が問題です。皆さんはこの単語がヘブライ語だと知っていますか?ヘブライ語変換できるキーボードを持っている方はいますか?誰もいません。ということで、ここにいる誰もCaptureをパスすることが出来ませんでした。取り扱う製品やサービス、仕事場等でハードルを取り除くことが大切です。

これを実行した例として、カリフォルニア州に家庭用太陽電池パネルを扱うSungevityという企業があります。大がかりな修理や改修をする時、入札という大きなハードルがあります。査定をするため、請負業者と家主の両方が現場にいなければなりません。その点Sungevityはとても賢い方法を取りました。彼らは依頼主の住所からサテライトで家を探します。その映像から南西方向を割り出し、人工衛星からの画像で家の周りの木々や屋根の大きさをチェックします。衛星写真を基に屋根に設置するソーラーパネルの模型を作り、パネルの費用やサイズ、生産電力量を割り出します。あなたは住所を伝えるだけで、査定に付き添う必要はありません。会社側も家を訪問したリ、屋根に登ったりする手間が省けます。

皆さんはビジネスでどのようにハードルを取り除きますか。私がまだとても若い頃、教えてもらった考え方があります。それは自分がしたくないことを相手に要求しないことです。あなたがCaptureを避けたいと思うなら、人にもそれを要求しないことです。

ステップ8は、意思決定の過程で家族全員を魅了することです。父親に決定権があると思われがちですが、実際の権限は8割方母親が握っています。嫁や父親、祖父の場合も稀にあります。誰が決定者であり一番影響力を持っているかを最初から決めてかかるべきではありません。

私の身内で、私に対して最も影響力を持つのは妻以上に娘です。世の中で娘をお持ちの父親はお分かりだと思います。娘の幸せが自分の幸せと言っても過言ではありません。またその逆も然りです。

私が娘に対してどれだけ献身的で、影響を受けているかを示す証拠があります。私は、1度ならず2度もJustin Bieberのコンサートに同伴しました。娘への愛情の証として、これ以上のものは無いでしょう。

大切なのは、家族全員に気を配り魅了することです。決定権があるのは父親だと決めてかかるべきではありません。妻や姉妹、祖父や祖母かもしれませんし、私の様に娘の可能性もあります。

ステップ9は、お互いに助け合いの精神を持つことです。先ほど偉大な著書、Bob Cialdiniの「影響力―説得の心理学」を紹介しました。[写真] このカーペットは、次の話と深い関係があります。1930年代、イタリアはエチオピアを侵略しました。この事件が起きた時、世界のほとんどの国々は口を閉ざしました。しかしメキシコだけはその行為を非難しエチオピアを支持しました。

それから約50年が経ち、メキシコに大規模な地震がありました。何千人もの人が震災で亡くなりました。エチオピアの人々は、過去の恩を忘れていませんでした。

このカーペットには、イタリアとエチオピアの戦いが描かれています。エチオピアの人々は飢饉で苦しんでいたにも関わらず、大地震で被害を受けたメキシコにお金を寄付しました。

アメリカにも同様の例があります。南北戦争の直後、サウスカロライナ州チャールストンの住民がバケツリレーで消火活動をしていると聞き、ニューヨークの住民は消防車を寄付しました。最初に贈った消防車は、それを積んだ船が沈んで駄目になってしまった為、2台目も寄付しました。

それから150年後、9/11のテロがありました。チャールストンの人々は、5千万円を調達し、ニューヨークの人々に消防車を贈りました。ここにも素晴らしい恩返しがありました。

大切なのは、人を助け、人に助けてもらえるよう持ちつ持たれつの関係を築くことです。これは非常に素晴らしい概念です。世の中が上手く行くのはこの関係があるからでしょう。人にした親切は、いつか必ず自分に返ってきます。

私はこれまで13冊の本を書いています。執筆者である私が推薦するので間違いありません。Bob Cialdiniの「影響力―説得の心理学」を是非読んでください。

ステップ10です。これまでのポイント全てに失敗したら、ひざまずいて懇願するしかありません。これは、Richard Bransonとロシアで撮ったものです。[写真] 私達はゲストスピーカーとして同じ会議に招かれました。控室でRichardは私に聞きました。「君はVirgin America航空を使っているかい?」私は答えました。「ユナイテッド航空のグローバルサービスです。最高レベルの接待を受けられるのでそこそこ気に入っています。なぜこの特権を使えるようになったか分からないのですが、わざわざそれを諦める理由もないので利用しています」すると彼は私の前にひざまずき、私の靴を磨き始めました。彼にこんなことをされてはVirgin America航空に乗り換えないわけにはいきません。デュシェンヌ・スマイルを持つRichard Bransonに魅了された瞬間でした。

考えてください。億万長者であり、ナイトの称号を持つ彼が私の靴を磨いてくれたのです。皆さんに紹介した10のステップの根底には、人助けや奉仕、すべきことを実行する精神があることを覚えていてください。

皆さんは素晴らしい商品を扱っています。しかし仕事として保険業務に携わっていると、時にそれを見失ってしまうのかもしれません。部外者の私から見て、保険業は商品やサービスの販売ではなく、心の安らぎを提供する仕事です。これこそ素晴らしい技術だと思います。

紹介した10のポイントを実行してください。皆さんは更なる魅力と影響力を身につけ、心の在り方や行動も改善することが出来ます。皆さんは心の安らぎを提供しています。これこそ人を魅了する最高の芸術ではないでしょうか。

Guy Kawasaki, は、マーケティングのスペシャリストとして活躍している。オンライン・グラフィック・デザイン・ツールのCanvaのチーフ・エバンゲリスト。メルセデス・ベンツのブランド・アンバサダー、アップル社のチーフ・エバンゲリスト、ウィキメディア基金の管財人なども務めている。12冊の著書があり、新規のテクノロジー企業を支援するベンチャー・キャピタルのGarage Technology Ventures の創設者のひとり。

 

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