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クォリティの高いクライアントを惹きつけ、競争の激しいマーケットで差別化を果たす

Louis J. Cassara, CLU, ChFC

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21回のTOT資格を持つ会員から、仕事に対する姿勢と、キャリアへの取り組みを学びたい方にはうってつけのセッションです。Cassaraは全米でアドバイザー、そして業界のコーチとして認められています。実績のある、クライアントを創出する手法で、これまでに何千人ものアドバイザーをクライアントに信頼される生産性の高いアドバイザーへと導いてきました。彼のコンセプト、ツール、適応方法は、大型案件へと導き見込客とクライアントがあなたの提案するソリューションをより早く受け入れることに寄与するでしょう。

本日はこの業界が直面している三つの大きな課題についてお話をし、次に我々全員が持つべき新たなビジョンを提示したいと思います。この講演は主に信頼関係に関わる内容で、円滑な人間関係を構築することは我々が向上できるスキルの中で最も重要なものです。我々は信頼関係が幸福、喜び、豊かさの素晴らしき源であると同時に、失望や不満のより大きな源でもあることを経験から理解しています。

三つの大きな課題

それでは、この業界が抱えている三つの大きな課題にまつわる、三つの新たな統計をご紹介します。それは、87%、66%、35%というものです。クライアントが我々アドバイザーから離れていく理由の87%は、アドバイザーとの信頼関係の欠如です。

クライアントのこうした行動傾向を調べると、我々への警告ともいえる注目すべき点が浮かび上がりました。それは、離れていくクライアントの9割は我々が扱う商品に不満はなく、保険契約は維持しています。つまり、クライアントがアドバイザーと距離を置く理由は商品ではなく、ひとえにアドバイザーとの関係性です。私はこの状況は「我々のリーダーシップ不足」によるものと考えています。

次の66%という数字は、ある非常に明確な傾向を象徴しています。この傾向は今後も変わることはないでしょう。この数値は世論調査を行うギャラップ社による、何百万人ものクライアントを対象とした調査の結果で、我々にとっては衝撃的なものです。何とクライアントの3人に2人は、アドバイザーの変更や新たなアドバイザーを探すことを今まさに検討しています。多くのクライアントがアドバイザーの変更、あるいは他社のアドバイザーと新規にビジネスすることを考えているということです。この調査結果は我々が新旧どちらのアドバイザーになるかによって、怖いか、心躍るかが変わります。また、クライアントの66%がこうした動きを起こそうとしている要因として考えられるのは、アドバイザーとのつながりや有意義な対話の欠如、それに過剰な選択肢による不安です。我々のクライアントは大量のデータに苦しめられています。データの洪水に溺れ、何をどう解釈すればいいのかわからなくなってしまっているのです。

もちろん、別の手段による「つながり」は存在しています。地球上では一日に100億件の携帯電話での通話や、1000億回ものインターネット接続が行われています。ハイテクが普及しても、クライアントは人間同士の触れ合いは希薄になったと感じています。

三つ目の数値が示しているのは我々が直面している最大の課題であり、しかも最も明白なものです。現代のアメリカでは、信頼関係を築くことが難しくなっています。シカゴ大学ブース経営大学院の“America’s New Motto: In Few We Trust(アメリカの新たなモットー:我々はわずかな人しか信用しない)”と題された研究によると、一目見ただけで信用できると思える人が存在すると答えたアメリカ人は1964年(この調査は長年行われています)には54%だったのに対し、現在は35%にまで減少しています。

つまり、この業界全体として自問するべきは、「本当の意味は何か」という当たり前のことです。なぜなら我々が今この場にいるのは、これまでに様々なことを考え抜いてきた結果だからです。

ビジネスの基本

私は非常に運良くMDRTの会員になることができ、皆さんと共に20年間この道を歩んできました。しかも会社を経営しながらアドバイザーとしてビジネスをするだけではなく、自ら編み出したコーチング・プログラムによって1万7千人ものアドバイザーのビジネス向上のお手伝いをする幸運にも恵まれました。

こうした体験を通じて得たものを幾つかお話しします。私は多くの経験を積み重ねる中で、様々な疑問を抱いてきました。人が他人と信頼関係を継続する、あるは止める理由は何かという議論も幾度となく行ってきました。そして、私が習得したことについてお話しすると同時に、踏むかもしれない地雷を避けつつ、相手を惹きつけてつながり、さらに深い信頼を目指す、宝の山のようなより良い人間関係を築くためのヒントを差し上げます。

また、本日のさらに重要な任務は、皆さんが直感的に理解している事を再確認することです。もちろん、皆さんが既にご存じの内容も出てくるかもしれませんが、まず幾つかの重要な点を再確認させてください。ひとつ目は、我々の人生の基本は「ビジネスで最も重要なのは人との関わり」だということです。話し合う、一緒に働く、何かを分かち合う人がいなければビジネスは成立しません。人との何らかの関わりがなければ、何も始まりません。人との交わりは、仕事が終わった午後5時以降のものだけではありません。人と関わることは、人生で最も大事な基本であるべきです。

本日のふたつ目の目的は、私が大事にしているビジネスの基本をお話しすることです。私がビジネスで大事にしているのは、ごくシンプルなことです。人はサービスを受けることを好みますが、熱心に売りつけられることは嫌います。我々アドバイザーは、人はサービスを提供されるのが好きなことを直感的に理解しています。では、なぜ私達は売るための小手先のテクニックはもはや役に立たないとわかっていながら、そればかりを繰り返し使い続けているのでしょうか。

誰もがクライアントの立場で、両極端ともいえる2種類のセールス・アプローチを受けたことがある筈です。一人目はクライアントに何かを売ろうとするセールス・パーソン、そしてもう一人はクライアントにサービスを提供しようとするセールス・パーソンです。この違いは何だと思いますか。結局のところ、重要なのはクライアントがセールス・パーソンに良い感情を抱けるかどうかではないでしょうか。サービスを提供しようとした場合、クライアントは「この人は私にとって最善の策を考えてくれている」と感じます。

私はこの話をする度に、「クライアントがアドバイザーとビジネスを始めるための決め手は、アドバイザーに対する理論的な判断ではなく、アドバイザーに対して良い感情を抱けるかどうかである」ことを自分の中で再確認します。皆さんにも是非このことを再確認していただきたいのです。

以上を踏まえて、本日お伝えしたい最も重要な点は、皆さんはリーダーですが、我々アドバイザーがリーダーシップを発揮すべきなのは、クライアントが決断をするためのお手伝いをするときです。我々自身が決断するときではありません。なぜなら、我々はクライアントの人生に深く関わっているからです。このことを常に念頭に置いておいてください。

壮大なるビジョン

ではここで、業界全体、そして皆さんのビジネスのための壮大なビジョンを提示します。なぜこのビジョンを提示したいかというと、これは我々の理性ではなく感情に基づいているからです。私が実現したいと思っているビジョンでは、クライアントはこの業界や我々アドバイザーに魅力を感じています。なぜなら、そこでは我々アドバイザーがクライアントに高圧的な態度を取るのではなく、親身になってビジネスをしているからです。アドバイザーによるクライアントへの貢献が非常に大きいため、クライアントはアドバイザーとの関わりなしでは人生の計画を立てらないほどです。そしてアドバイザーは、クライアントが理想とする自分になるための壮大なビジョンを築くお手伝いや、そのビジョンを実現する力を備えるための構想、ツール、手法を提供するという、より重要な支援をします。

このビジョンが実現すると、我々やビジネスはどうなるのでしょうか。そして、このビジョンを実現するにはどうすれば良いのでしょうか。このビジョンを軸として、クライアントを追うのではなく惹きつけることができるようになる為には、どんな時も「本当の意味は何か」と考えることに集中しなければなりません。次の例で実際に考えてみましょう。

あなたが今いる場所はMDRTの大会ではなく、華やかな社交パーティだと想像してください。会場はあなたが長期的なビジネスをしたいと思える、正装したクォリティの高い男女であふれています。あなたはカクテルを手に、会釈しながら会場を歩き回る内に、出席者と会話を交わすようになります。遅かれ早かれ、こうした会話はある質問へと辿り着きます。

その質問を避けることはできません。どうすればいいでしょうか。「お仕事は何をなさっているんですか」という質問は、極めて大きな意味を持っています。それは質問した相手に自分を強く印象づけるチャンスでもあり、無様な自分をさらしてしまう危険な問いでもあります。自分自身を表現するまたとない機会でもあり、非常に落ち込む結果に終わりかねない質問でもあります。相手が尋ねた真意は何でしょうか。「職業」というラベルを確認したいのでしょうか。そういうことではない筈です。ちなみに、もし相手と積極的に関わりたくなければ、我々は非常に有利な立場にいます。「私は生命保険のビジネスに携わっています」と言うだけで、あっという間に会場は空になるからです(笑)。

相手と積極的に関わりたいのであれば、質問の裏にある意味を考えなければなりません。相手が本当は何を知りたいのかと考えるのです。彼らが知りたいのは「あなたはどういう人物か」ということです。「あなたがどういう人物で、私はなぜあなたと会話をする必要があるのか」ということです。もしこの質問に強い印象を残せるような答えを返せなかった場合、どうなるでしょうか。あるいはオフィスで面談をした理想的な見込客がこの質問をしたとき、あなたはどう答えようと思いますか。あなたは自分の答えについてどう思いますか。

この質問にまつわる、興味深い話があります。男性はこの質問に対して強い印象を与える答えを返せるまでに約33秒かかります。33秒もです。一方、女性は驚異的です。女性の皆さんは男性とは脳の構造が異なるのか、同時に複数のことができます。曖昧なやり取りから相手の真意を見抜き、答えを出すまでに17秒しかかかりません。我々男性の処理スピードがアナログ回線によるインターネット接続並みだとすれば、女性の処理能力はDSLによる高速インターネット接続並みです。こうした基本的な事情も踏まえて、皆さんは自分の答えについてどう思いますか。私はコーチングでは常に質問をしています。例えば「人生で結果を出すにはどうすればいいか」とも尋ねます。すると、「何らかの行動を起こします」といった答えが返ってきます。では、そうした行動を起こすためには何が必要でしょうか。必要なのは信念です。

結果をもたらす方程式

つまり、私の「結果をもたらす方程式」は極めてシンプルです。それは「信念+行動=人生で得られる結果」です。尚、自分の能力を信じることができなければ、誰かの人生の役に立とうとしたり、行動を起こして結果を出したりすることもできません。自分は取るに足らない人物だと思っている人が人の役に立てたり、良い結果を出すことはできません。従って、こうした例では自己認識が行動を決定づけます。我々の行動は思考の産物であり、もしその思考が明確な目的意識ではなく迷いや混乱に基づくものであった場合、先ほどの公式からはまったく違う結果が出てくるでしょう。

では、私がどのようにしてこの公式を導き出したかを説明します。私は天才ではありませんので、突然ひらめいた訳ではありません。30年以上前のことですが、私はシカゴのとある会社でキャリアをスタートさせました。ニューヨーク州で生まれ育ち、ロングアイランドの高校を出た私は、外国の大学に進学すると周りに言っていました。なぜなら、アイオワ州の大学だったからです(笑)。最初は大きなカルチャーショックを受けました。しかし幾つもの小さな奇跡が起きたお陰で、私は卒業後プロ野球を少し経験した後に、口述録音機を販売するシカゴの会社でセールスとマーケティングの仕事に就くことができました。1970年代初めのことです。

皆さんも同世代の方が多いと思います。当時まだ24歳だった私は他の新人同様、本当の自分というものがはっきりと掴めていませんでした。自分の行動に自信が持てませんでした。今思い返せば、やりたいことを実現する能力が当時の私にはまだ備わっていなかったのです。

私はまず、自身が成長するための極めてシンプルな方法を取りました。自分が何を考え、どう発言し、どんな行動を取るべきかを、すべて会社で習得することにしたのです。しかし、上手くいきませんでした。その方法とは社内で成功している人物を観察し、その人の行動を真似するだけだったからです。そういった優秀なセールス・パーソンは、セールスの場に同行した新人の私に成功のノウハウを見せてくれましたが、それは私には売るための小手先のテクニックにしか思えませんでした。もちろん、当時のビジネスの基本は小切手を獲得してくればいいという、極めて単純なものでした。小切手さえ貰えれば、どんな手段も正当化されました。何があろうと小切手を取ってこい、例え血まみれの小切手でも貰えればこっちのものだ。あの頃はそうやって新人がしごかれる時代だったのです。

私はそうしたやり方に身も心もついていけませんでした。そしてある日、私は気分が悪くなり、同席していたセールスの場から抜け出しました。私は彼のやり方が向いていないとわかったので、方針を変えることにしました。私は独自のセールス活動を行うことに決め、シカゴのビジネス街に単身で向かいました。そして、大きな成功を収めた弁護士の目を見張るほど豪華なオフィスで、口述録音機のプレゼンをしました。巨大なデスクの向こう側に座っている弁護士は、フットボール選手のような立派な体格をしていました。さらに、この話の重大なポイントですが、彼は禿げていました。私が録音機のプレゼンをしている間、弁護士はずっと私を見つめていました。穴が開くほど見つめられるので、私は居心地が悪くなりました。ついに我慢ができなくなった私は、プレゼンを一端止めて「すみません、何か気になることがございますか」と尋ねました。すると彼は私をまっすぐ見て「君のかつらさ。どこで手に入れたんだい」と尋ねてきたのです。

面食らった私は「いえ、これはかつらではございません。私はイタリア系でして、単に髪の量が多いのです」と返しました。しかし弁護士は「いや、私は本気でかつらが必要なんだ。どこで買ったんだい。とてもよくできているじゃないか。触ってもいいかな」と言って引き下がりません。こんなケースはどの営業マニュアルにも載っていませんでした。しかし、私は「とにかく小切手を貰うんだ。小切手さえ手に入れれば、どんな手段も正当化される。心配するな。小切手を貰えばいいんだ」という当時のビジネスの基本にのっとり、素早く行動に出ました。「では、私の髪に触れたら、録音機を購入していただけますか」と持ち掛けたのです。すると彼は私を見つめながら了承しました。私の心境がどんなに複雑だったか、想像してみてください(笑)。

私は立ち上がり、デスク越しに弁護士のほうへ頭を傾けました。すると、彼は私の髪を掴んで引っ張りながら「このかつらの性能はすばらしい」と繰り返しました。ずいぶんな力で髪を掴まれ、引っ張り続けられました。10秒ほど我慢してから、私は一歩下がって顔を上げました。私の髪はドン・キングの髪型のようにすっかり逆立っていました。私はもう一歩下がって注文書を取り出し、弁護士の目の前に置きながら「本日小切手に署名をいただければ、明日録音機をお持ちします」と言いました。彼は約束を守ってくれました。

この非常に複雑な心境にさせられる話をとても謙虚な気持ちで皆さんに正直にお話ししたのは、24歳の若さでこの経験から学んだことが、その後の私にとって大変重要な糧になったからです。まず、小さいときからジョン・ウェインのファンだった私は、この一件をカウボーイに例えて「馬が死んだら降りろ」と胸に刻みました。つまり、上手くいかないことは深追いせずに手を引け、ということです。また、さらに重要なことに、私は当時の人々が教え込もうとしていた対応の過ちに気づき始めました。すなわち、「どの方法も上手くいかなければ、自分の価値観の基準を下げろ」ということです。そのやり方は、私には合いませんでした。また、ある人が結果を出すために用いた考え方や行動様式を理解せずに、その人の上辺だけを真似ても上手くいかないこともよくわかりました。つまり、ただの人真似は、自身の成長にはつながらないのです。この経験で、私の中にあるものが芽生えました。オフィスに戻りながら、こういうセールスは二度としないと誓いました。若いときのこの経験によって、仕事や人生に対する初めての本物の目的を持てるようになりました。

本物の目的

我々の人生の目的は、理想の自分になることです。目的は人生の強力な推進力という役目を果たします。先ほどお話しした経験によって、私は初めて本物の目的を抱くようになりました。それは「誰かの劣化版になるのではなく、常に最高の自分を目指せ」というシンプルなものです。あの経験から学びました。

私は理想とする自分を目指す中で、あらゆる人間関係はそのときの自分と自分の心の関係を映し出している事を身をもって知りました。繰り返しになりますが、自分に自信がなく、自分がどういう人物なのか掴めていない人がいきなり他人の前に出ても、相手を惹きつけることはできません。また、全体的に自信を失っていて何を行いどんなサービスを提供しているのかを外部にわかりやすく示せない業界と、ビジネスをしたい人もいない筈です。

私は様々なビジネス・モデルを観察し、人間関係やクライアントを獲得する手法について理解を深め、とにかく考えました。皆さんもすでにご存じかと思いますが、カーネギー工科大学(訳注:現在はカーネギーメロン大学)による1934年の研究結果によると、見込客をクライアントにするために必要な手順の85%は見込客との関わり方や自身のコミュニケーション・スキルに関連するもので、残りの15%が商品と関連するものです。この結果は、私も皆さんも直感的に理解できることで、実際に何度も教わっています。しかし実際には、我々はクライアントを獲得しようとするためにかける時間の85%は商品説明に費やされ、見込客との関わりやコミュニケーションを通じて関係を築くための時間はほんのわずかしかありません。

私は自分自身やビジネスについて検討し、人に売りつける方法ではなく、人と関わってコミュニケーションを取る方法を学びたいと思いました。それは、当時の私の見込客やクライアントへのアプローチとは根本的に違いました。私は自らの信念や行動を顧みて、発作的な行動、感情の起伏に基づいた行動、一貫性のない行動を取る可能性があるかどうかを分析しなければなりませんでした。そしてさらに大事なのは、いかにしてそうした行動についての真実を語るかということでした。それはかなり難しいことです。

大多数の人は正直でありたいと思っています。しかし、真実を語ることと正直であることには大きな違いがあります。真実は本当に起きた事実です。例えば、昨年の皆さんの年収は真実です。正直であることは真実を自身の観点から語ることです。例えば、大口のクライアントを失ってしまった、大きな失敗を犯してしまった、などがそうです。

この業界に関する真実は、クライアント継続率が11%だということです。そしてこの点を正直に、つまり我々自身の観点から語ると、商品力の差であるとか自分以外のことが原因になります。それは私に言わせると、真実を語っていないということです。こうした様々な分析を行った結果、私は「お仕事は何をなさっているんですか」という質問の本当の意味は「あなたとビジネスをする利点は何ですか」だと把握できるようになりました。分析はこの質問を理解する上で非常に役に立ちました。要するに、この質問をした人は、私自身の価値観や資質を説明するよう私に求めているのです。私がその人との関わりの中でどんな自信にあふれた行動を取れるか、その人にどういった感情を抱かせることができるかを示すよう求めているのです。

つまり、私はそれを示す過程で、いわゆる「私の価値観」や「私のビジネスの理念」を提示しなければならないのです。従って「お仕事は何をなさっているんですか」と尋ねられたとき、私は相手の目を見て「この24年間、私の熱意、献身、姿勢がご自身の大事な資産を守るために役立つと多くの方に認められ、ビジネス・パートナーに選んでいただいてきました。つまり、私はあなたが本当に大事に思われているものが何であるかを見つけるお手伝いができるかもしれません。そしてさらに、私はあなたの生活、資産、愛するご家族を大切に守るためのお役に立てる筈です」と心を込めて伝えます。

こうして答えることの真の利点は、自分が大切なクライアントとの契約をいかに重んじているかを、自信を持ってはっきりと再確認できることです。私はビジネスを行うには理念が必要だと強く感じています。それは私のビジネスの基礎になります。それは決して人に暗記を強要されたありふれた使命でもなければ、人の受け売りでもありません。その理念とはビジネスを強力に推進するものであり、我々がどんな人物を目指し、どんな行動を取り、どんなサービスを提供したいかというビジョンを持つために必要なものでもあります。クライアントを守るなど本当にやらなければならないことをやる、というのも強い理念です。我々アドバイザーのビジネスの本質は、クライアントの生活、資産、愛するご家族を守ることです。それを忘れてはなりません。理念を持つことが重要です。理念は情熱を生みます。理念は人を惹きつけます。私がコーチングを行うために設立した会社の理念は、世界をより良くするために必須のスキルを多くの人に身につけてもらうことです。それが私の会社を発展させる基礎になっています。

偉大なリーダー達は偉大な理念を抱いていました。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの理念は「人は肌の色ではなく内面で評価されるべきである」でした。この理念を広めるためには、パワーポイントによるプレゼンは必要ありませんでした。ガンジーが抱いていた人権についての理念は、スタッフを引き連れてクロージング・ミーティングを行わなくても人々に受け入れられました。マザー・テレサが持っていた人権と貧しい人を助けることに関する理念は、彼女が交渉術を学ぶ教室に通わなくても広く理解されました。

このように、強い理念を持つことがどれほど役に立つかがおわかりいただけたでしょうか。強い理念は強力な磁石のように人々を引き寄せます。私がなぜこのことを強調しているかと言いますと、強い理念は我々が日々見込客やクライアントと向き合うための目的を与えてくれるからです。理念は我々がこの業界でビジネスをするために欠かせないものです。さらに、理念は自身の人との関わりを広げるためのきっかけにもなります。あなたが関わりを築いてきたクライアントが、あなたについての真実を語るきっかけになるのです。

つまり、あなたの最も上得意であるクライアントが「資産の管理を誰に頼んでいるんですか」と誰かに尋ねられたときが、まさにそのきっかけになる筈です。そのクライアントが「いい保険屋さんにお願いしているんです」ではなく、「よくぞ聞いてくれました。なぜ私がJennifer Borislowとビジネスしているのかご説明しましょう。私がJenniferとビジネスする理由は、彼女が業界で最も献身的で責任感に満ちたアドバイザーのひとりであり、彼女とのビジネスは私の人生にプラスになるからです。彼女は知識が豊富ですし、複雑な問題に対して簡潔な解決策を編み出せるという優れた能力を持っています。しかし、Jenniferとビジネスする真の利点は、彼女との面談を終える度に、私にとって最も大切なものを守ることができたと安心できるからです」のように答えてくれれば、これほど理想的なことはありません。

クライアントがあなたのことをこのように思っていて、その真実を正確に語るスキルを備えていたとしたら、その影響の大きさは計り知れません。毎月20人もが、あなたをアドバイザーにしようとするでしょう。強い理念を持つことがビジネスでいかに重要で役に立つかを、是非理解してください。逆に、理念を持たないことは大きなマイナスになります。

それぞれのアドバイザー、そして業界全体が理念を持たず、自分自身や自らの行動に価値を見出せなければ、他の人の価値観に頼ることになりかねません。それでは自身が求めていたものとはまったく違う結果になってしまうかもしれません。

人と関わるvs人を混乱させる

自身の価値観を見出し、理念を持つことが人生でいかに重要かを理解することがビジョンを実現するためのひとつ目の要素だとすると、ふたつ目の要素は人を混乱させずに人と関わるための方法を習得することです。皆さんの中で、ビジネスをしてきたクライアントが突然離れていき、自分よりも劣る会社に所属している、劣ると思われる商品を扱うアドバイザーに乗り換えたとします。そういう苦々しい経験をお持ちの方は私以外にもいらっしゃいますか。真実を答えていただき、ありがとうございます(笑)。

私の場合、商品よりも人についてよく知りたいと考えていましたので、腹を立てるよりもなぜそうしたことが起きたのかを把握できるよう努めました。その後何年もかけて何千もの方にインタビューを行い、なぜクライアントは関係を築いてきたアドバイザーから離れるのか、なぜそうしたいと考えたのかを尋ねました。すると、全員の答えは同じでした。言い方はそれぞれ違っていても、アドバイザーから離れた理由について皆「私にとっての最善な策ではなく、アドバイザー自身にとっての最善な策を取ろうとしていると感じるようになったから」と答えたのです。そうです、彼らは「判断した」のではなく「感じた」のです。私が実際に経験した例をお話しします。その中で特に、リーダーの仕事に対する姿勢が悪いとそれが組織の文化に浸透し、やがて組織中の人に悪影響を及ぼすという事実に注目してください。

7年前、人工股関節置換手術を受けなければならなくなった私はシカゴの病院を調べ、この分野で有名な二人の外科医を見つけました。どちらもシカゴの人工股関節置換手術の権威ともいえる名医でした。私は一人目の医者を訪ねました。G先生としておきましょう。G先生の病院に行くと、まず受付で非常に不機嫌な女性に迎えられました。私が訪ねたこと自体が悪であるかのようでした。女性は「予約は?」と言うと、問診票のクリップボードを投げるように寄こして、向こうで書き込むようにとジェスチャーしました。私は問診票を受付に返したあと、30分も待たされました。そしてようやく小部屋に通されると、さらにもう30分待たされたのです。

私は待つのが嫌いですので、とても苦痛でした。病院に来てから一時間後、小部屋の扉が乱暴に開けられました。G先生が入ってきました。彼はまるで私が部屋にいるのが気づかないかのごとく私を無視して、医療機器に近寄りレントゲン写真を確認すると、「この人には手術は必要ない」と一言だけ告げて部屋を出ていきました。その後、G先生のすぐ後ろにいた、研修医と思われる医者がクリップボードを手に慌てて戻ってきて「説明します」と言いました。私は思わず「止めてください。もう結構です。私は声を大にして言います。私はあなたとも、G先生とも、この病院の人たち全員と関わる気はありません。失礼します」と口にしていました。これが最初の医者での出来事です。

次に、二人目のH先生を訪ねました。病院に行くと、まずてきぱきと働く若いスタッフの実に大きな笑顔に迎えられました。そして、「ミスターCassara、ようこそ当病院へ。初めての診察ですね。医者がよりあなたのお役に立てるよう、お手数ですがこの問診票にご記入をお願いしてよろしいでしょうか」と言われました。もちろん、喜んで記入しました。受付に問診票を返すとすぐに名前が呼ばれ、診察室に通されました。嬉しい驚きでした。しかも、すぐにノックの音が聞こえました。誰かと思うと、H先生でした。彼はまっすぐに私に近寄ると、右手を差し出して「おはよう、Lou。今日の調子はいかがですか」と尋ねてきました。「まあまあです。でも股関節の調子はずっと良くありません。私が持参したレントゲン写真をご覧になりましたか」と私が質問すると、H先生は「私はレントゲン写真を見る前に、患者さんの話を聞いて手術が必要かを決めます。今日の痛みはどの程度ですか」と言いました。どちらの先生の手術を受けたのかは、言うまでもないでしょう。

なぜこの例をお話ししたかというと、「最も重要なのは自分が何ができるかではなく、自分がどんな人物であるかだ」ということを、私達は忘れてしまっているからです。我々アドバイザーには、頭の回転の速さを何よりも先に示す機会は与えられません。なぜなら、クライアントを惹きつけ関係を維持するために一番大事なのは知力ではないからです。最も大事なのはクライアントに良い感情を抱いてもらうことですが、私達はこの極めて重要な事実を忘れてしまいがちです。つまり、成功を維持できる人は、このことを決して忘れず、しかも我々が何年も教え込まれてきた昔からのやり方と真逆の方法を実践できるという、素晴らしい才能を持っているのです。

我々は駆け出しの頃「何かを手に入れたければ、取りに行かなければならない。そうすれば幸せになれる」と教えられました。しかし、成功を収めそれを長く維持している方々、例えば、アドバイザーとしての素晴らしい功績であるトップ・オブ・ザ・テーブルを何年も達成し続ける皆さんのような方々の成功の秘訣は、相手を一番に考えているということの筈です。皆さんは他人に対して親切で思いやり深く、相手の気持ちになって考えます。皆さんは相手の話を聞いて共感し、その人の役に立とうとします。その結果、皆さんの周りには対応しきれないほど大勢のクライアントや友人が集まってきます。しかし一般的に、我々はそういう大事なことを忘れがちです。しかも、昔習ったやり方に固執するならば、人を心から惹きつけることはできません。

では、人を心から惹きつけるにはどうすれば良いのでしょうか。様々な職業や立場の人々、様々な考え方の人々と円滑にコミュニケーションするという理想を実現するにはどうすれば良いでしょうか。人の性格はそれぞれ違います。優しくて繊細な人、結果がすべての人、データを重視する人など様々です。この事実はマイヤーズ・ブリッグスを始めとする、各種性格診断でも明らかです。しかし、我々は人の性格は様々だと知りながらも、万人向けの無難な方法でクライアントに対応しようとしてしまいがちです。それは非常に危険です。そうした対応をされたクライアントの多くは「このアドバイザーは私のことをきちんと見てくれていない」と感じているのです。

いきなり信頼関係を構築しようとしても、それは三又プラグを二つ穴のコンセントに無理に差し込もうとするようなものです。何らかのアダプターを用意しなければ、絶対に実現できません。人間関係でのこのアダプターについて、お話ししたいと思います。この会場にいる皆さんも含めて、どんな人にも大切な何かがあります。それは常に気にかけておきたい大事なものです。それは人によって様々ですが、あらゆる人がそうした大切なものを持っています。

核となる重要なもの

私はそれを「核(CORE)となる重要なもの」と呼んでいます。C は我々が今直面している「課題(Challenge)」です。その課題と向き合わないのは重大な問題です。誰の人生にも障害はあります。また、我々には皆「チャンス(Opportunity)」が与えられています。チャンスをものにできれば、人生が劇的に変わります。そして、「人との関わり(Relationship)」があります。これは仕事でもプライベートでも大事なものです。さらに私達には「経験(Experience)」が備わっています。常に行っていること、上手くいったもの、上手くいかなかったものなどです。

私はあらゆる人々と信頼関係を築くために、共通の何かを探します。クライアントとの関係を築くためには、クライアントが大切にしたいもの、気にかけたいものは何かを話してもらうようにします。それは私が話したいと思うことで会話を進めるよりも、ずっと重要なことです。「この人は私に寄り添ってくれている」とクライアントに感じていただけることが、私の役目であり、私が果たすべき責任です。私はクライアントが課題を克服し、私と出会うまで気づかなかったチャンスを活かすお手伝いをします。私がそうして築いた信頼関係やビジネスの能力を活かしてクライアントの人生をより良いものに変化させ、彼らが人生や仕事で大事にしているものや愛するものを守るという経験を続けるためのお手伝いができれば、私はクライアントにとって無二の存在になれる筈です。子ども、配偶者、友人にも同じような姿勢で接すれば、彼らにとっても私は無二の存在になれる筈です。

従って、私はいつでもどこでも誰に対しても、最高の自分でいようと努力することにしました。朝8時から夕方5時まで頑張り、そのあとはスイッチを切ってまるで別人のようになることはしたくありませんでした。競争の激しいこの業界でアドバイザーを続けるためには、クライアントに本当の自分を見せて信頼関係を築かなければならないと思いました。私がクライアントに提供できる真の商品は、クライアントと築く信頼関係です。それが、アドバイザーが提供できる最高の商品です。我々が数々のリゾートホテルの中からリッツカールトンを選ぶのは、満ち足りた気持ちになれるからです。私達もクライアントにそうした気分を味わってもらわなければなりません。そのことを決して忘れてはなりません。

我々は皆サービスを提供されることは好みますが、売りつけられることは嫌います。そして、誰もが「核となる重要なもの」を持っています。そのことを踏まえて、私の経験をお話しします。私はクライアントと資産の話をする前に、彼らの人生について語ってもらいます。まずクライアントの人生を知るというのが、私のビジネスの基本です。人生には節目というものがあり、そうした節目には経済的な問題が発生することが多いです。従って、クライアントに人生やその節目を語ってもらうことでその方の問題や悩みを知り、アドバイスができます。しかし、あくまでもクライアントが何を大事に思っているかが一番重要です。無理に聞き出すのではなくクライアントが語りたいことを聞いて、そこで私がどう役に立てるかを考えます。それがクライアントの気持ちを尊重するということです。

この壮大なビジョンを実現するためのふたつ目の要素は、我々アドバイザーはクライアントを大切に思っていると、彼らにわかってもらうことです。なぜなら、クライアントは「自分を気にかけてくれてる人、自分のことや現在の状況を理解してくれる人」を求めているからです。クライアントは「金額の大小に関わらず自分の資産を大切に扱ってくれて、何かを売りつけるのではなく問題を解決してくれて、計画の進捗状況を見守ってくれて連絡を欠かさないアドバイザー」を探しているからです。我々アドバイザーがクライアントから求められているのは、こうしたことです。また、忘れてはならないのは、人との関わりでは、我々が与えたものと同じ大きさのものを、我々もまた与えられているということです。私達はクライアントにどれほどの大きさのものを与えられるでしょうか。

ビジョンの実現に近づくために

では、この講演の核心部分に入りましょう。我々はこのビジョンの実現に向けて、どのくらい準備ができているのでしょうか。この偉大なる業界に携わっている我々全員が問わなければならないのは「私達には現実と正面から向き合う勇気があるか。社会で信用が大幅に失われている理由は何か」ということです。突き詰めて考えると、この「信用」という言葉に鍵がありそうです。

我々は日頃から真実を語っていません。そして、真実を語らない上に、多くについて「真実ではないこと」を語っています。つまり、人間関係には約束というものが存在します。あらゆる人間関係は約束で始まり、それが守られるか守られないかのどちらかです。例えば「またお電話します」という約束が守られなかったとします。言った本人は軽い挨拶程度だったのかもしれません。多くの人は、どんなに小さくても、守られなかった約束が人間関係に悪影響を与えることに気づいていません。しかも、我々はその影響の大きさに気づかないまま、守れない小さな約束、ちょっとした一言、悪気のない嘘、儀礼的なお世辞を繰り返します。

言ったことと別のことをする、考えていることと違うことを口にし、さらに別の行動を取るのでは信用を失います。私には肝に銘じていることがあります。それは、「人はお金を失っても誰かに借りて一からやり直せますが、信用を失ったら例え誰かの信用を借りられたとしても、クライアントは取り戻せない」ということです。つまり、我々はビジネスでもプライベートにおいても「最高の人間関係は互いに真実を語り、約束を尊重して守ることで成り立つ」のだと理解しなければなりません。それが偉大なる友情というものです。私にとって偉大なる友人とは、常に真実を語ってくれる人です。ずばり真実を告げてくれる人です。そういう人々が常に自分の周りに集まってくるという素晴らしいビジョンを実現するためには、次のように発想を転換してみましょう。

真実を語ることを人に求めるのならば、まず自分がそうするよう努力するべきいです。自分がそうすれば、まったく新たな世界が見えます。理想の自分になりたいとただ思うのではなく、どうしてもなりたいと努力することが大事です。何かに向けて必死に努力するということは、人間に与えられたまたとない才能です。努力は人生を前に進めるための燃料です。私はセミナー参加希望者に向けて「努力をしたり学び続けたりする気持ちがなければ、ここに来る必要はない」と言っています。そういう人は他のセミナー参加者に悪影響を及ぼすからです。

現在のこの業界に最も必要なのは、必死の努力です。難しいけれど心の底ではやらなければならないと思っていた改革に必死に取り組むことです。例えば、出産時の痛みを好んで経験したいと思う女性はまずいないでしょう。しかし、彼女たちは痛みを越えて得られる成果のために、痛みに耐える努力をするのです。

一日の終わりに振り返ったときに大事なのは、目的のためにいかに努力を続けたかということです。では、我々は仕事に対する努力、熱意、集中力をどのようにして持続すれば良いでしょうか。

私達の大半は「朝起きると、この世をより良くしたいという意欲とこの世を楽しみたいという欲望の板挟みで迷ってしまい、今日の予定が立てられない」というE・B・ホワイトの言葉どおりに感じている筈です。そうした中、我々に道を踏み外すまいと思わせてくれるものは何でしょうか。

この会場内の大半の方は、若い後輩達がまだ経験していない素晴らしい経験をお持ちの筈です。それは、いつか誰かに影響を与えられると信じていた自分が、ある人の人生を驚くほど素晴らしいものにできたという人生の節目を実際に経験したということです。私が人との関わりについてお話しするストーリーの多くは、父そして夫としての役割を通じて学んだものです。なぜなら、私はビジネスでいくら成功しても、家に帰って家族と上手くやっていけなければ何の意味もないと信じているからです。

人が何かをやり遂げるために責任を持って支える

では最後に、勇気をもって役割を果たす大切さについて、あるストーリーをお話しします。それは、人に良い影響を与えるための唯一の方法は自らが先頭に立って模範を示すことであるという具体例です。

息子のAnthonyは現在大学3年生です。数年前、高校生になったばかりの息子は家族との夕食の席で「僕は学校で行われる劇のオーディションを受ける」と宣言しました。私達は驚きました。息子はどちらかといえばバスケットボールやゴルフが得意な体育会系です。一方、通っている高校は芸術系で名を知られていました。この高校の演劇プログラムを学びたくて遠方から通っている生徒が数多くいる程です。私と妻が驚いたのはそういう訳でした。しかも息子は「僕は主役をやりたいんだ」と続けました。私は「いいじゃないか。頑張りなさい」と言いました。息子は「うん、それに主役はソロで歌わなければならなんだ」と言いました。またしても驚きです。息子は一体なぜそんな気になったのでしょうか。

その後、練習に参加した息子は一次審査に通りました。そして次の日の夜、彼は何と主役を射止めたのです。『王様と私』のチュラーンロンコーン王子役でした。息子は何ヶ月も練習に通いました。しかし、初演の日まであと2週間というときに、長女のStephanieが書斎にやって来て「パパ、Anthonyと話してくれないかしら。とても落ち込んでいるの。練習に行かないって言ってるわ」と頼んできたのです。私はちょうどその頃、ある講演で「大抵の人は長時間テレビを観て、その上1日3時間パソコンに向かいます。しかし、大事な人達と向き合って真剣な会話をするのは1日わずか5分です」と話したばかりでした。娘の口調の真剣さで、私もまさにその一人だったことに気づきました。私は仕事の手を止めて息子の部屋に向かいました。

寝室のドアは開いていて、5メートルほど離れたところから息子の姿が見えました。彼はベッドに腰かけて両手に顔をうずめていました。苦痛のあまり、体が震えていました。私は息子に近寄りながら天を仰ぎ「神よ、私が息子に正しいアドバイスをできるよう力を貸してください」と祈りました。なぜなら、私は今から行われるのは単なる父と息子の会話ではなく、息子の人生を決めてしまいかねないほど重大な話になると思ったからです。

私は息子と一緒にベッドに腰かけて、「こっちを見て。一体どうしたんだ」と言いました。息子は顔を上げました。そして、大粒の涙をぽろぽろこぼしながら「パパ、僕には無理だ。無理なんだよ」と答えました。私は息子に「何があったか話してくれ。どんなことがあっても、お前への愛情は変わらない。この劇に出ても出なくてもだ。だから、気にせず話すんだ。まず一つ聞いてもいいかな。そもそもなぜ、この劇に出ようとしたんだい」。すると息子は「僕は前にパパが講演会で話すのを見て感動して、僕も舞台に立ちたいと思ったんだ」と答えたのです。

「そうか。あの時のことについて『話す前は舞台に立つのがとても恐ろしくて緊張したけれど、ついにやり遂げたときは自分が夢見ていた経験を手に入れることができた』というパパの言葉を覚えているかい」「はい」。そこで、私は息子に尋ねました「すごく大事な質問をするぞ。どんな答えでもパパはお前の味方だ。だが、お前がこの劇に出ないとどうなるか考えてみたかい。演劇の監督や劇の仲間たちにどれだけ迷惑がかかってしまうか考えてみたかい。しかもお前は高校に入ったばかりだ。この先卒業するまで、何年もずっといろいろ言われてしまうかもしれない。『あいつは約束や責任を果たさなかった』と言われてしまったら、お前はどう思うんだ」「そんなことは言われたくない」「そうだろう。だから、よく考えるんだ。お前はこの劇でどんなことを実現したいと思っていたんだい。あんなに張り切っていたじゃないか」「僕は自分が大勢の前で話せるかどうか試したかったんだ。それに歌を歌うのも好きだし。そのことは誰も知らないから、皆の前でそれを示したかったんだ」。私は「そうか。それは立派な理由じゃないか。いいか、お前にとって大事なのは家族だ。だから家族の前でちゃんと歌えれば、他の人の前で歌うのは簡単さ。だから今から歌ってみないか。歌う姿を家族に見せてくれ」とアドバイスしました。

私は家族を呼び集め、息子が歌う曲のCDをかけて「さあ、歌うんだ」と励ましました。息子はやっと立ち上がり、歌い出しました。渋々といった歌い方でしたが、それでも家族は盛大な拍手を贈りました。「もう一回歌って」と私達が促すと、息子は何度も歌いました。6回も7回も繰り返させました。そして、Anthonyが7回目を歌い終えると、私達は立ち上がって拍手喝采しました。息子は練習に行きました。

2週間後、遂に公演の日が来ました。私達家族は観覧席に座っていました。ホールには1200名ほど入るでしょうか。私達の席は前から4列目でした。すぐ目の前の舞台は広くて立派です。妻は緊張のあまり私の腕を強く掴んだままでした。オーケストラが『王様と私』のテーマ曲を奏でて舞台にスポットライトが当たると、主役は舞台に登場し、最初の台詞を言わなければなりません。すると、息子はスポットライトの真下に現れ、滑らかに台詞を言いました。私達は思わず「そうだ、その調子だ」とつぶやいていました。それからしばらくして、息子は一人で登場しました。スポットライトが舞台での彼の演技を追い続けています。そして、息子は立ち止まると観客を見つめながら歌いました。歌い終えると、盛大な拍手が起こりました。息子の表情が明らかに不安から安堵に変化し、彼は大きな微笑を浮かべました。

ご存知の通り、劇が終わると通常役者が舞台挨拶をします。主役は最後に出てきます。息子が最後に登場するとホールは歓声に満ち溢れ、観客全員が立ち上がって盛大な拍手を贈りました。私は息子が大きな人生の節目を迎えた瞬間を見守りました。彼は責任を果たしました。苦しみながらも、自分の凄さを発見できました。息子はそれまでの自分を捨てることが責任を果たすための第一歩だということを理解しました。これは人に備わっている強さです。息子はその後も、何度も同じような経験をして成長しました。息子はそうして責任を果たすことの大事さを、身をもって知りました。彼はそれを忘れることはないでしょう。

皆さんにも今の話から再確認していただきたいことがあります。皆さんが家族、友人、大切な人達、クライアントに対して発揮するリーダーシップは、あなたが何かをするためのものではありません。その人たちが何かをやり遂げるお手伝いをするために発揮するべきものです。あなたの力によって、彼らが責任を果たせるようにするためのものです。

ビジョンを実現するために

それが、皆さんが相手に与えられる贈り物です。ひとつアドバイスを贈ります。今まで決して手に入れられなかったものを手にするためには、これまでとはまったく違う方法を使わなければなりません。皆さんやこの業界の最大の力は未知数で、それを手に入れるためには今の安定を捨てなければなりません。責任を果たすためには、何かを捨てなければならないということを忘れないでください。

我々のビジョンを明確に示して実現し、人々の先頭に立って彼らの大きな役に立つために、この業界が一丸となってやらなければならない三つのことを提示します。

  • 自分が大きな役に立てることを自覚する。なぜ人があなたとビジネスをしたがるのか理解する。ビジネスでの大きな目的を持つ。目的はビジネスを推進し、例え気が進まない嫌な業務も欲しい結果を手に入れるために必要な作業だと思える原動力となる。自分がビジネスで大事にしている価値観を文書にまとめる。
  • 自分の真の商品は人との関わりを築くことだと、自信を持って言えるようにする。相手が大事に思っていることを尋ねてその人の「核となる重要なもの」の明確にし、自分が相手の人生にいかに関われるかを考える。すると、その人にとってあなたの存在が驚くほど大きくなり、あなたと一生付き合いたいと思われるようになる。
  • 約束は必ず尊重する。我々が人に与えられる最大の贈り物は、自らの人生で手本を示したものである。我々は常に「話さなくても、自らの姿勢で相手に教えられることは何か」と自身に問い続けなければならない。

最後に、いつも、どんなときも、誰かの劣化版になるのではなく、常に最高の自分を目指してください。他人のやり方を気にするのではなく、自分が生き生きと活動して、責任を果たし続けるにはどうすればいいかを考えてください。そういう人が社会からも、そして我々の業界からも求められているのです。

Louis J. Cassara, CLU, ChFC, は The Cassara Clinic and The Financial Resource Networkの社長兼CEOとして、33年以上にわたり、自分の真の可能性を発揮するようインスピレーションを与え続けている。認定ファイナンシャル・コンサルタントやChFCの資格を有する業界のトップ1%に相応しい業績を続けている。21回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含め、34年間MDRT会員。生命保険の3000件の保有契約の保障額は20億ドル以上、保険料は4000万ドル以上。全米で優れた講師、作家、教師として称えられている。

 

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